あじ -鯵-
スズキ目アジ科に属する魚の一種
味が良いから「あじ」と名付けられたという説があります。
1719年江戸時代中期の政治家で儒学者の新井白石が『東雅』という書物で「或人の説く鰺とは味也、其の味の美をいふなりといへり」と記載しています。名付けの由来は諸説ありますが、日本では古くから親しまれている魚ということが分かります。
現在でも年間を通して獲ることのできるあじは、暖かい海を好み暖流にのって北海道南下から日本周辺を回遊していて、多くは北九州の海域で漁獲されます。春〜夏に獲れるあじは質が良く、特に6月~7月のあじは非常に脂がのっていてうま味がたっぷりつまっているのが特徴、旬の時期といえるでしょう。秋以降のあじは、旬の時期よりも大型でうま味が少々弱くなります。また、逆に早春の時期のあじはまだ身が育っておらず、非常に小さな形で、豆あじ、小あじとも呼ばれます。
あじの漁獲量は、長崎県がダントツ1位!
2020年度のアジ類の漁獲量は110,558t、1位長崎県シェア45.4%、2位島根県シェア13.1%、3位宮崎県シェア6.2%(アジ類には、マアジとムロアジ類を含む)。長崎県のシェアが高いことが分かりますが、長崎県は実は魚の漁獲量が全国3位、魚種の種類は全国1位を誇る県。三方が海に囲まれる長崎県では、四季折々の旬な魚が獲れるのです。漁獲量1位の魚種はあじの他に、くろまぐろ、いさき、さざえ、かたくちいわし、ぶり類、たい類、さば類があります。
あじの種類
マアジ
マアジは最もポピュラーな種類で、刺身、フライ、お寿司、焼き魚など様々な料理で使われます。透明感のある白身は、うまみと甘みが強く感じられます。体長は30㎝程です。北海道から沖縄まで広く分布していて、外洋を回遊する「外洋あじ」と、日本沿岸の内湾に住み着いている「瀬付きあじ」の2つに大きく分けられます。「外洋あじ」は、私たちがよくスーパーで見かける方で、身は筋肉質でさっぱりとした味わいです。黒っぽい見た目で細長くスマートな体型をしており、身も締まっています。「瀬付きあじ」は、餌が豊富な内湾で小魚などを食べているため、外洋あじよりも丸々とした体型、身にも脂がのっています。魚体表面の黄色みが、光り輝いて黄金に見えることから「金あじ」(きあじ)とも呼ばれ、ブランド化されているものもいます。
ムロアジ
ムロアジは主に加工されることが多い種類です。干物やけずり節に加工されることが多く、独特な臭いのする「クサヤ」もムロアジから作られています。鹿児島や長崎や大分などの九州地方でよく獲られる他、和歌山や高知、愛媛などでも漁獲されます。ムロアジは血合いが多く傷みが早いため、漁獲の行われていない場所では流通しないため、比較的希少な種類といえるでしょう。体長は40~50㎝ほどで、スリムな体形をしています。
シマアジ
上品で穏やかなうま味とコクを持ち、透明感があり、後味に優れるのがシマアジの魅力です。その姿には美しい黄色い横縞模様があり、大きいものは120cm超。ただ、市場では60cm以下のものを見かけることが多いです。シマアジは非常に希少性が高く、養殖技術が発展した現在においても、その漁獲量はマアジの50分の1程度しかありません。
美味しいあじの選び方
「目」を見る
・目が透明で澄んでいる
・黒目がしっかりと分かる
・目全体が盛り上がっている
白濁して落ち込んだ目をしたあじは鮮度がよくありません。
ハリ
・身体が張っているもの
・全体的に丸みがあり身が厚いもの
・ツヤがあって
あじは時間が経つにつれて、身体がしなり平たくなります。
傷の有無
・身体に傷がない
・背ビレや尾ビレは破れていない
魚は獲られるときに多少の傷がつくことがありますが、傷があるものは雑菌が繁殖しやすい状態になります。
エラの色合い
・エラが美しい赤色
エラが黒ずんでいたり、黄色~茶色に変わったものは鮮度が落ちています。
切り身の場合
・表面にツヤがある
・全体的に透明感がある
・身に弾力とハリがある
水分が抜けてハリがないものや、パックに血水があるものは鮮度が落ちている可能性があります。
あじの旬の味、新鮮なものをぜひお楽しみください!
参照:農林水産省「海面漁業生産統計調査」(2020年)