2020年度の日本の食品ロス量が推計開始以来、最小の522万tでした。農林水産省によると、コロナ禍で外食産業の営業自粛などで需要が減り、小売では値引き販売や需要予測の精度が上がったことによる無駄にならない仕入れ等の企業努力が大きく進んだと見込んでいます。国連世界食糧計画(WFP)が世界各国で援助したのは約420万t(2020年)、それよりもまだ100万tも多い状況です。日本政府は2030年までに食品ロスを489万tにする目標を掲げていて、6年連続で前年より減少傾向ですが、目標にはまだまだ届きません。
食品ロスが多いと起こる問題とは
- 環境負荷
食品ロスを処理するため、焼却する際に排出されるCO2が地球温暖化の要因となる温室効果を助長し、また焼却後の灰の埋め立てなども環境負荷になると考えられます。食品ロスが多い事が結果的に地球温暖化を進行させてしまうのです。また、食品ロスを含めた多くのごみ処理のために多額のコストもかかっています。
- 食料資源が有効活用されない
食品ロスを多く発生させている一方、日本は7人に1人の子どもが貧困で食事に困っている状況です。本来食べられるであろう食材を捨てている現状を見直すことは重要で、私達一人ひとりが食べものをもっと無駄なく、大切に消費していく必要があります。
食品ロス 1人1日あたり コンビニのおにぎり約1個分
食品ロス年間522万tを1人1日あたりにすると、約113gになります。
これはコンビニのおにぎり1個あたりの重さです。
食品ロスの内訳は事業系と家庭系に分けられ、事業系で275万t、家庭系247万tでした。
事業系は主に規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなど、家庭系は主に食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、皮の剥きすぎなどが食品ロスの発生要因となっています。家庭系の食品ロスについて、消費者庁が2017年に徳島県で実施した食品ロス削減に関する実証事業の結果では、まだ食べられるのに捨てた理由が、食べ残し57%、傷んでいた23%、期限切れ11%(賞味期限切れ6%、消費期限切れ5%)だったことが分かりました。
私達ができる事とは
食品ロスを減らすために私たちができる事は、次の4つがポイントです。
● 買いすぎない
● 作りすぎない
● 食べきること
● 外食の際に注文しすぎない
-買い物する時の工夫-
- 買い物へ行く前に、家にある食材を確認する
買い物へ行く前に、冷蔵庫や食品庫などにある食材を確認しましょう。買い物をした後、同じ食材があったことに気づき、食材を余らせてしまうケースもあるようです。買い物前に、冷蔵庫内をスマホのカメラで撮影すると手軽に済むのでおすすめです。 - 必要な分だけ買い、食べきることを意識する
お得だからと予定外の量や物を購入したものの、使い切れずに賞味期限や消費期限が過ぎて捨ててしまうことがあっては、それはお得でもなく不要な出金です。買い物する時は、食べ切れる量を意識していきましょう。 - 献立計画にあった期限表示の食材を買うようにする
買い物をする時、賞味期限や消費期限がより長いものを買おうと棚の奥から商品を取ることもありますが、すぐ使う食材は棚の手前から取りましょう。お店での食品ロスの手助けになります。
-調理する時、食事する時の工夫-
- 食品に記載された保存方法を確認する
誤った保存方法をすると、食品の劣化が早くなる場合があります。正しい保存方法で、食品をおいしく食べきりましょう。特に、普段買わない食材の保存方法は要チェックです。 - 余りそうな野菜は下処理してストックする
一度に食べきれない野菜は、下処理をして小分けし冷凍保存するなど、食材を長持ちさせる工夫をしてみましょう。 - 残っている食材から使う
買い物した物をしまう時は、残り食材を取り出しやすいところへ配置するなど、工夫をしましょう。調理する時に残り食材から手に取りやすくすると、食材が傷む前に使いきれるかもしれません。 - 家族が食べきれる量を調理する
家族の予定や体調や健康などを配慮して、調理したものが残らないようにしましょう。家族とほんの少しのコミュニケーションが食品ロスの削減につながります。 - もし料理が残ってしまったら、リメイクして食べきる
同じ料理を再度食卓に出すと家族の箸が進まないようであれば、リメイクの工夫などをして食べきるようにしましょう。
-外食する時の工夫-
- 注文前に、自分やみんなと食べきれる量を相談する
食べたいと思ってドンドン注文してしまうと食べきれる量を超えてしまうこともあるでしょう。
まず注文する前に、自分の食べられる量や一緒に食事する人達の食べきれる量を話し合って、注文する量を決めましょう。食べたいけど食べられるか悩むときは、後から注文することにしましょう。 - 注文するサイズを工夫する
ハーフサイズや小盛りメニューなどがメニューにあるところは是非活用しましょう。小さいサイズは割高と思わず、1人前よりハーフサイズなどの方が安いはずなので出費も減り、食べきれて満足すると思います。 - もし残してしまった料理は、可能であれば持ち帰りも検討しましょう
持ち帰りが可能であれば、家に持ち帰って食べきるようにしましょう。その際は、衛生面の事などもあるので、お店の人と相談してから検討してください。
参考:農林水産省及び環境省「食品ロス量」(2020年度推計値)
国連世界食糧計画(WFP)の2020年度支援実績
厚生労働省「貧困率」(2018年度)