骨は体を支えたり、内臓を守ったりなど、体にとって大切な役割をしています。しかし、年齢とともに骨密度は減少し、骨が脆くなり、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。その結果、寝たきりになってしまうことも……そうならないためにも、いつまでも健康で丈夫な骨を維持したいですね。今回は、健康な骨をつくるポイントをご紹介します。
骨の役割
人間の体は、約200個の骨の組み合わせで支えられています。骨は「体を支える」以外にも、「内臓を強い衝撃から守る」「筋肉や腱などと結びつき、関節を支点として体を動かす」「カルシウムやミネラルの貯蔵庫」「造血作用」など、実にいろいろな役割を担っています。
骨は常にリニューアルされている
人間の体は、古い細胞から新しい細胞へ入れ替わることで常につくり替えられています。これを新陳代謝といいます。新陳代謝に要する期間は細胞によって違いますが、骨は若い人で3年程度、高齢になると5〜10年程度かかります。
骨の新陳代謝には、骨を壊す「破骨細胞」と骨をつくる「骨芽細胞」の2つが関係しています。古くなった骨を破骨細胞が壊し(骨吸収)、壊された部分を骨芽細胞が修復して、新しい骨につくり替えています(骨形成)。修復の際に必要な栄養素が「カルシウム」です!
骨粗鬆症とは?
健康診断の結果サポートをしていると、骨粗鬆症に該当する方が意外に多くいます。骨粗鬆症の「鬆」は、「大根などにスが入る」というときの「ス」のこと。文字通り骨がスカスカになって骨密度が減り、弱く脆くなって骨折しやすくなるのが骨粗鬆症です。
高齢になると増加する傾向にあり、特に閉経後の女性に多いのが特徴です。閉経すると骨の維持に大切な女性ホルモンであるエストロゲンが減少するため、骨吸収と骨形成のバランスが悪くなって骨密度が減り、骨が脆くなるからです。ほかに、加齢とともに腸管でのカルシウム吸収力が悪くなることや、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなることも関係しています。 無理なダイエットによる栄養不足は、将来の骨密度に影響します。喫煙習慣、過度の飲酒がある人は、カルシウムの吸収が妨げられ、骨粗鬆症のリスクが高くなります。
骨を健康にするための食事
骨を健康にするためにカルシウムはとても重要ですが、ほかにも心がけたいポイントがあります。
【POINT】
①3つの栄養素を意識する!
- カルシウム
- ビタミンD
- ビタミンK
②日光に当たる
③運動をする
これら3つのポイントについて解説します。
①3つの栄養素を意識する!
基本はバランスのよい食事です。いくら3つの栄養素が大切だからといって、そればかりをとっていては栄養が偏り、上手に体で吸収されません。あくまでもバランスのよい食事を基本に、3つの栄養素の役割を理解し、それを多く含む食材を意識してとりましょう。
【3つの栄養素の役割】
栄養素 | 役割 | 多く含まれる食材 |
カルシウム | 体の中で一番多く存在するミネラル。骨や歯を形成する。筋肉の収縮にも関与。 | 牛乳・乳製品、大豆製品、小魚、青菜 など |
ビタミンD | 腸からのカルシウムの吸収を高め、骨形成を助ける。免疫機能を高める。 | 鮭、まいわし、きのこ類、きくらげ など |
ビタミンK | 骨に含まれるたんぱく質を活性化、カルシウムを骨へ沈着させ、骨形成を助ける。血液凝固作用。 | ほうれん草、モロヘイヤ、春菊、納豆 など |
②日光に当たる
腸からのカルシウム吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで、皮膚でもつくることができます。そのため、日光に当たることが大切です。仕事などで建物の中にいることが多い人は、せめて休日には外に出て日光を浴びましょう。リフレッシュもできて気持ちいいですよ!
③運動をする
運動をすることで骨に負荷をかけ、刺激を与えると、骨をつくる細胞が活発になり、骨を強くします。
運動は健康維持のためにも継続してほしい習慣ですが、そのために時間が割けないこともありますよね。そんなときは、日常生活でこまめに動く、エスカレーターをやめて階段を使う、通勤時には一駅分歩くなどを心がけるだけでも十分効果的です。
骨を健康にするためには、バランスのよい食事をとり、外に出て日光に当たり、日常的に体を動かすこと。この3つのポイントは、骨粗鬆症を予防するためにも大切です! これからは骨を強くすることを考えながら行動してみましょう!
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師