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飲み物の糖分に気をつけましょう!
2023.08.22 おすすめ記事

飲み物の糖分に気をつけましょう!

水分補給のために、皆さんはどんなものを飲んでいますか? お茶、コーヒー、スポーツドリンク、炭酸飲料などさまざまな飲み物がありますが、甘い飲み物は糖分が気になるところです。糖分の多い飲み物をとりすぎると、肥満やペットボトル症候群を起こしやすくなります。今回は、糖分の多い飲み物について考えていきます。

糖類は1日どのくらい?

世界保健機関(WHO)では、成人および児童の糖類の摂取量として1日あたりの遊離糖類を総摂取カロリーの10%未満に減らすように推奨しています。5%まで抑えられた場合(1日25g程度)には、健康にいい効果があるともいわれています。これは、スティックシュガー(1本3g)にして約8本分に相当します。メーカーによって異なりますが、ジュースや清涼飲料水などの場合、500mlのペットボトルを1本飲むと超えてしまうものもあります。

料理や間食などにも糖分が含まれているため、糖分の多い飲み物を飲みすぎると、あっという間に糖分過多になるので注意が必要です。

暑い時期や運動時には、水分補給のためスポーツドリンクを飲む方も多いと思いますが、実はこの手の飲料にはかなりの糖分が含まれています。スティックシュガーの本数にすると6〜10本分になります。

日常生活で汗をかく程度なら、水やお茶、麦茶などで水分補給をし、運動や重労働などでたくさん汗をかく場合にはスポーツドリンクにするなど、シーンによって飲み物の選び方を考えるといいでしょう。

遊離糖類とは、食べ物や飲み物に添加する糖類やはちみつ、シロップ、果汁、濃縮果汁に存在する単糖類と二糖類のことです。

「ノンカロリー」や「低カロリー」なら大丈夫?

最近の飲料には「ノンカロリー」や「低カロリー」といった表示が多く見られます。栄養指導をしていると、「ノンカロリーなら大丈夫でしょうか?」と聞かれることがあります。しかし、「ノンカロリー」や「ノンシュガー」といった表示には、栄養成分表示規定があり、必ずしもゼロkcalや砂糖ゼロとは限らないのです(下の表参照)。したがって、やはり飲みすぎには注意が必要です。

【栄養成分表示の強調表示】 100gまたは100mlあたり

栄養成分「無」「ノン」などの表示「低」「オフ」などの表示
エネルギー(熱量)5kcal
(例:ノンカロリー)
20kcal以下
(例:カロリーオフ)
脂質0.5g未満
(例:ノンファット)
1.5g以下
(例:ローファット)
糖質0.5g未満
(例:ノンシュガー)
2.5g以下
(例:低糖・微糖)

※栄養成分表示では、糖類とは別に、炭水化物の量を示すことになっています。糖類は単糖類(ブドウ糖・果糖など)と二糖類(砂糖・乳糖など)を指します。

糖分をとりすぎると起こる影響

○肥満

 糖質は、体を動かすエネルギー源です。運動時や重労働のとき、暑さで疲れているときはエネルギーが消耗しているので、糖類を含む飲み物はエネルギー源となります。ただし、必要以上に飲みすぎると、体内で糖質がエネルギーとして使われず余ってしまい、中性脂肪として蓄積されてしまいます。その結果、肥満につながってしまいます。

○集中力の低下

 「糖分をとると集中力が増す」と思われがちですが、少量ならいいのですが、とりすぎると逆効果になってしまいます。

 糖質を一気にとると血糖値が急激に上昇します。上がった血糖値を下げるため、膵臓からインスリンが大量に分泌されます。すると今度は、血糖値が急激に低下し、低血糖状態となります。低血糖状態では、集中力低下や頭痛、イライラするなど、さまざまな症状があらわれます。

○ペットボトル症候群

 炭酸飲料や清涼飲料水などを多く飲むと、吸収の早い糖類によって高血糖状態を招くことをいいます。血糖値が急激に上がり、多尿により脱水症状も起きるため、喉が渇き、さらに炭酸飲料や清涼飲料水を飲むという悪循環に陥ってしまいます。重度の場合には、意識障害、昏睡状態になることもあります。

○疲労感

 糖質は、体を動かすエネルギー源ですが、糖質をエネルギーに変えるためにはビタミンB1が必要です。糖質をとりすぎてしまうとビタミンB1が消費されて不足状態となり、糖質がエネルギーに変わることができずにエネルギー不足になり、だるさや疲労感が出ます。アルコールを飲みすぎても、実は同様のことが起こります。飲酒後に疲れを感じる方は、もしかすると糖質をとりすぎてビタミンB1が不足している可能性があります。

飲み物はシーンや選び方次第

糖類は、脳の活性化や体を動かすエネルギー源として欠かせません。不足すると疲労を感じやすくなります。しかし、糖類をとりすぎてしまうと、肥満や集中力の低下などにつながります。だからこそ、飲み物も栄養成分を見ながら上手に選ぶ必要があります。「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」表示でも飲みすぎには注意すること。そして、運動時などたくさん汗をかくときは、スポーツドリンクなどで水分補給をすること。シーンごとの飲料の選び方が健康維持には大切になります。

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師

【出典】

WHO「Guideline: sugars intake for adults and children」

https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028?_ga=2.181078511.990394810.1688827048-197307504.1685317259

・e-ヘルスネット「嗜好飲料」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-014.html