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生活を見直し、生活習慣病を予防しましょう!①
2023.10.24 おすすめ記事

生活を見直し、生活習慣病を予防しましょう!①

健康診断には、体の変化に気づき、病気を未然に防ぐという大切な役割があります。結果の数値に一喜一憂することなく、また、「数値が悪くても症状がないから大丈夫」「仕事が忙しいから気にしていられない」などということのないように! 正常値を逸脱していることがわかったら気をつけるようにしないと、あとあと心臓や脳の大きな病気を招く恐れがあります。

特に生活習慣病は、食事や運動など生活習慣に直結している病気ですから、健康診断の結果によって生活を見直すことで病気を予防することが可能です。今回は、生活習慣病について考えていきたいと思います。

生活習慣病とは?

 生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中も、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などと同様に生活習慣病に含まれます。

 厚生労働省では、以下のように生活習慣病の範囲を示しています。

【生活習慣病の範囲】

食習慣 インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等
運動習慣  インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
喫煙肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
飲酒アルコール性肝疾患等
厚生労働省「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」をもとに作成

生活習慣病のさまざまな種類

 私は以前、病院勤務をしていたとき、血圧や血糖値が高い方を多く指導してきました。生活習慣病にはさまざまな種類がありますが、最初のころは自覚症状がないことが多く、結果的に大きな病気に移行してしまい、後悔する方も少なくありませんでした。

生活習慣病は、早期に発見して生活習慣を見直し、改善していくことで、大きな病気に移行するリスクを減らすことができます。

 主な生活習慣病には、高血圧、糖尿病、肥満症、脂質異常症、高尿酸血症、歯周病、アルコール性肝疾患があります。これらの病気を放置しておくと、心疾患、脳血管疾患などの重篤な病気を招きます。

 健康診断で血糖値や脂質の数値が高いとか、BMIが25以上などの異常値となっている方は、生活を見直し、改善しましょう。

次に、主な生活習慣病について見ていきましょう。まずは高血圧から。

①高血圧

 高血圧は、日本人の生活習慣病による死亡に最も大きく影響する要因の一つです。高血圧の最大の原因は、皆さんご存じのとおり、食塩の摂り過ぎです。そのほかに、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などが挙げられます。20歳以上の国民のおよそ2人に1人が高血圧といわれています。

 高血圧は、本態性高血圧と二次性高血圧の2種類に大別されます。日本人の大部分の高血圧は本態性高血圧であり、上記のような原因で起こると考えられています。二次性高血圧は、甲状腺や副腎の病気、睡眠時無呼吸症候群などが原因で起こるものをいいます。

日本高血圧学会の高血圧診断基準では、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmgHg以上の場合を高血圧と診断します。自宅で測る家庭血圧は診察室よりも低い基準です。

【成人における血圧値の分類(mmHg)】

日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』より

血圧が高い状態が続くと、血管に常に強い圧がかかり、血管壁が徐々に厚く硬くなり、動脈硬化を招きます。動脈硬化により上記の症状にプラスして血管が狭くなるため、心疾患や脳血管疾患になりやすくなります。

このような人は高血圧に要注意!

「濃い味付けが好き」「麺類は汁まで飲む」「野菜はあまり食べない」「肥満気味」「運動はあまりしない」「タバコをよく吸う」「ストレスが多い」など、このような人は高血圧になりやすく、注意が必要です!

 予防するには、まず食塩を控えめにしましょう! 『日本人の食事摂取基準(2020年版)』の食塩の目標量では、成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満とされています。また、日本高血圧学会は、高血圧疾患における減塩目標量は1日6g未満にすることを強く推奨しています。食塩を多く摂ると、血圧を高くするだけではなく、食欲を増進させて体重増加につながります。国民健康・栄養調査結果によると、日本人は多くの食塩を摂っていることがわかります。

【年齢調整した成人の食塩摂取量の平均値の年次推移(20 歳以上)】

令和元年「国民健康・栄養調査」結果より

また、日本人の食塩摂取量の割合をみると、約7割が調味料由来です。調味料以外では、麺類や魚介加工品などです。日ごろ食べている料理は、だいたい調味料で味付けしているため、食塩摂取量の割合が約7割と高くなってしまうわけです。この味付けにちょっと工夫を加えることで、食塩量を減らすことができます。例えば、醤油を使うときに酢や出汁で割って使ったり、減塩醤油に変えてみたり。塩を使うところで、塩の代わりにレモン汁のみにするなど、薄味でもおいしく食べられるような工夫をしてみてください。

調味料以外では、加工食品の塩分含有量が要注意です。ちくわやウインナー、ハムなどの加工食品は、食品を長持ちさせたりするなどの目的で食塩を使用します。

日ごろ食べている食品にどれくらい食塩が含まれているか、下記を参考にして、食塩摂取目標量の範囲におさまるように気をつけ、高血圧を予防しましょう!

【塩分含有量】

『塩分早わかり第5版 いつも食べる量の塩分がひと目でわかる(FOOD&COOKING DATA)』より

【小さじ1杯あたりの調味料の塩分】

『塩分早わかり第5版 いつも食べる量の塩分がひと目でわかる(FOOD&COOKING DATA)』より

【塩分を減らすポイント】

【味付けのコツ】

今回は高血圧についてお伝えしましたが、次回は、糖尿病や脂質異常症などの予防についてお伝えします。

【参考文献・資料】

・e-ヘルスネット「生活習慣病とは?」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-001.html

・e-ヘルスネット「高血圧」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html?_ga=2.186143145.1891304535.1694771652-1563111995.1693709848

・厚生労働省「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」

https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0812/1217-4.html?_ga=2.213038612.1891304535.1694771652-1563111995.1693709848

・厚生労働省.令和元年国民健康・栄養調査.第55表 高血圧症有病者の状況 – 高血圧症有病者の状況、年齢階級別、人数、割合 – 総数・男性・女性、20歳以上

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450171&tstat=000001041744&cycle=7&tclass1
=000001148507&stat_infid=000032041920&tclass2val=0%3Cbr%20%2F%3E

・日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編集『高血圧治療ガイドライン2019』ライフサイエンス出版、2019

・令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

・令和元年 国民健康・栄養調査(第9表の2 食品群別栄養素等摂取量 20歳以上)

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450171&tstat=000001041744&cycle=7&tclass1=
000001148507&tclass2val=0

・牧野直子 監修『塩分早わかり 第5版 いつも食べる量の塩分がひと目でわかる(FOOD&COOKING DATA)』女子栄養大学出版部

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師