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熱中症を予防するには・・・②
2024.06.25 レシピ

熱中症を予防するには・・・②

前回に続き熱中症について、今回はその病型と予防法についてお伝えします。 

熱中症の病型、原因、症状 

熱中症は、「熱失神」「熱痙攣(けいれん)」「熱疲労」「熱射病」の4つの病型に分けられます。各病型の原因、症状、対処法を下表にまとめます。 

病名原因 症状 対処法・回復方法 
熱失神 長時間、直射日光の下にいたときや、運動終了直後に発生することが多い。 
体温の上昇により、皮膚表面に血液が集められ、循環血液量が減少する。運動を急にやめることで、静脈血の循環が悪くなり、脳貧血による立ちくらみが起こる。 
めまい、失神(一過性の意識消失)、頻脈、頻回の呼吸、皮膚蒼白、唇の痺れ など。 運動後は急に動きを止めないように、脈拍が落ちつくまで、足踏みや歩行をしてクールダウンを。 
 
足を高くして寝かせると通常はすぐに回復。 
熱痙攣 汗には、水分と電解質が含まれており、発汗量が多くなると、電解質の中でも塩分を大量に失う。たくさん汗をかき、水分補給の際に電解質を含まない水分のみを補給した場合に起こりやすい。痛みをともなう筋肉の痙攣(こむら返りのような状態)など。 
 
腹痛、嘔吐などがみられることもある。
大量の汗をかいたときは水分のみではなく、電解質を含んだもので水分補給をする。 
 
生理食塩水(0.9%食塩水)など濃い目の食塩水の補給や点滴により通常は回復。 
熱疲労 発汗による、脱水と塩分不足。 頭痛、めまい、脱力感、全身倦怠感、吐き気、血圧低下、頻脈、皮膚蒼白 など。 こまめに水分補給を心がける。 
 
スポーツドリンクなどで水分、塩分を補給することにより、通常は回復。嘔吐などで水が飲めない場合は、点滴など医療処置が必要。 
熱射病 大量の発汗による脱水、循環血液量の減少が続き、皮膚血管が収縮し、体で発生した熱が放熱できず、体温上昇(40℃以上)が急激に起こる。脳機能に異常をきたした状態。 40℃を上回る体温、意識障害、めまい、吐き気、ショック症状、昏睡状態 など。 
 
多臓器不全を起こして死亡するケースもある。 
救急車を呼び、すみやかに冷却処置を行う。

水分不足による危険な症状 

人間の体は水分が失われると、さまざまな変化が起き、支障がでます。

脱水症状は、小児の場合では5%ほど不足すると起こり、成人の場合は2〜4%不足すると顕著にあらわれはじめます。発汗による脱水の目安として、体重の2%を超えないようにしましょう。2%以上になると体の機能が低下していき、熱中症の危険性が高まります。 

確認方法としては、こまめに体重や尿の色をチェックすること。尿は脱水が進むと色が濃くなります。普段の自分の尿の色と比べて濃くなっていたら、水分が足りていない可能性が高いという証しです。 

熱中症を予防するには 

 熱中症は誰にでも起こる危険性を秘めています。予防には水分補給が大切です。喉が渇いたタイミングでは、すでに脱水が始まっています。喉が渇く前からこまめに水分補給をすること。汗をかくとミネラルやビタミンも失われます。たくさん汗をかく場合は、水分だけではなく、ミネラル、ビタミンも補給できるものを選びましょう。 

ほかに推奨される熱中症対策として、「気候にあった涼しい服装を心がけること」「屋外では帽子や日傘を、室内ではエアコンや扇風機を活用し、温度や湿度を調節すること」などが挙げられます。室内でも熱中症は起こります。熱中症の約40%は室内で起きているというデータがあります。節電よりも命を守る行動を。そして、体調が悪いときは決して無理をしないこと。 

忙しさや環境によって、水分補給のタイミングが難しいこともありますが、できるだけこまめな水分補給を心がけましょう。水分不足になると恐ろしい状況を招き、死に至ってしまいかねないことを肝に銘じておくことです。 

【参考文献】 

・厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」 

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/index.html

・公益財団法人日本スポーツ協会「熱中症を防ごう」 

https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html

・日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」 

https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke/heatstroke_0531.pdf

・鈴木志保子「理論と実践 スポーツ栄養学」日本文芸社,2018年,P172,176〜179 

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師