暑い時期には室内外の温度差が激しく、それに繰り返しさらされると自律神経が乱れてしまいます。自律神経の乱れは体に不調をもたらし、その結果、夏バテ気味に。今回は自律神経を整える方法をお伝えします。
自律神経とは
自律神経とは体温調節や呼吸、循環、消化、排泄、分泌などの生命活動を維持する機能を調整しています。私たちの意志とは関係なく、無意識に24時間休みなく働くのが特徴です。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割をします。交感神経が優位に働くと体が活動的になり、副交感神経が優位になるとリラックスモードになります。「交感神経」と「副交感神経」はどちらかが過剰でも、低すぎてもダメ。バランスをとることで体が健康に保たれます。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れると…
生活習慣の乱れや過度のストレス、ホルモンバランスの乱れなどによって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、頭痛や不眠、だるさ、吐き気、イライラ、不安など、身体症状だけでなく、精神症状があらわれる可能性もあります。
自律神経が乱れた状態が長く続くと、「不定愁訴」や「心身症」などを発症しやすくなります。不定愁訴とは、何となく体調が悪く、だるい、よく眠れない、頭が重い、イライラ、不安などさまざまな自覚症状を訴えて検査をしても、原因が見つからない状態のことをいいます。心身症は、ストレスなどの影響で体にあらわれる病態の総称で、呼吸器系、消化器系、神経系など、あらゆる領域にあらわれます。
自律神経を整えるには…
自律神経はストレスがかかるとバランスを崩しやすくなります。自律神経を整えるには、ストレス解消はもちろん、規則正しい生活やバランスのいい食事が大切です。
・生活リズムをつくり、運動、栄養、休養のバランスを大切に!
日中は交感神経が優位に働き、夜は副交感神経が優位になるのが自律神経の正常なリズム。そのための生活リズムをつくるには、3食決まった時間に食事を摂ることもポイントの一つ。朝目覚め、お腹が空いて朝食を摂る。学校や仕事へ行って活動し、お腹が空いて昼食を摂る。このように一定のサイクルになっていることが大切。つまり、食事のリズムが生活リズムを整えてくれるのです。
また、質のよい睡眠も自律神経を整えるうえで欠かせません。そのためには、起床・就寝時刻は一定にし、朝起きたら日光を浴びて体内時計をしっかり動かします。目から日光の刺激を入れることで、体内では「セロトニン」が活性化します。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質で、自律神経を整える働きがあります。質のよい睡眠をサポートするのは、よい入眠です。アルコールを飲みすぎず、スマホは見ないようにして、静かな環境を整えて寝ることを意識します。
適度な運動もまた自律神経を整えてくれます。ウォーキングやストレッチなど軽めのエクササイズは血流を改善し、腸内環境を整えることにも効果的。逆に激しい運動は交感神経を高めるので要注意です。
・バランスのいい食事と腸内環境を整える
食生活の乱れは、自律神経を整える栄養素の偏りや不足を招く可能性が高まります。バランスのよい食事のために、3食とも主食・主菜・副菜を並べるように心がけます。
腸は第二の脳ともいわれ、脳の感情や思考が腸に影響を及ぼし、逆に腸の状態が脳の働きに影響を与えることがわかっています。この相互関係を「脳腸相関」といいますが、自律神経やホルモン、免疫などの働きは脳と腸と連動しているため、自律神経を整えるためには腸の環境を整えることも関係しています。
腸内環境を整えるには、ポイントとなる善玉菌のエサとなる大麦や雑穀、ごぼうなどの水溶性食物繊維、玉ねぎなどのオリゴ糖を含む食材を積極的に摂ること、善玉菌を含むヨーグルトやチーズ、納豆などの発酵食品も意識して摂りましょう。
・セロトニンの生成に必要な栄養素を摂る
セロトニンは、睡眠をサポートするホルモンであるメラトニンの原料です。セロトニンは体内に貯蔵することができないため、食べたものからセロトニンを生成する栄養素である「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」を摂ることがポイントです。それらを多く含む食品を挙げておきます。
・トリプトファン:乳製品、バナナ、大豆 など
・ビタミンB6:マグロ、カツオなどの魚類、レバー、肉類 など
・炭水化物:ご飯、パン、麺類 など
・ストレスを溜め込まない
ご自身に合ったストレス解消法を見つけて、ストレスを溜め込まないこと。好きな音楽を聴く。映画を観る。散歩をする。美術鑑賞をする。ハーブやアロマに癒やされ、リラックスする。短時間、昼寝をする。悩みを人に聞いてもらうなどなど、さまざまな方法でストレスを発散しましょう。
健康的な生活を送るためには、自律神経を整えることが不可欠です。人間の体は、気候の変化でもストレスを感じやすいといわれています。季節の変わり目などには体を労わるように心がけてください。
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師