寝ている間や運動時など、足がつって辛い思いをした経験は誰しもおありでしょう。特に冬は足が冷え、水分も不足しがちなため、足がつりやすい傾向にあります。今回は、足がつる原因と予防するための栄養素についてお伝えします。
足がつる仕組み
足がつる――これは筋肉の痙攣の一種で、筋肉の伸縮のバランスが崩れて強く縮み、硬直して動かない状態を指します。ふくらはぎによく起こり、ふくらはぎのことを「こむら」というため、「こむら返り」と呼ばれます。特に、妊婦や高齢者、糖尿病や腎不全などの疾患がある方はなりやすいといわれています。医学用語では「有痛性筋痙攣」といいます。
足がつる原因
足がつる原因はいくつかあります。運動による筋肉の疲労や逆に運動不足、神経の興奮、水分やミネラル不足、冷えによる血行不良などが挙げられます。運動選手が試合中に足がつっているのを見かけたことがあると思います。運動中は汗を多くかくため、水分が不足し、ミネラルのバランスも崩れます。さらに、運動による筋肉疲労もあるため、足がつりやすくなります。特に、冬場は水分補給をする機会が少なくなり、空気は乾燥し、暖房器具などによる脱水傾向や冷えによる血行不良などで足がつりやすくなります。ただ、原因が特定されない場合も多くあります。
予防するためには?
予防するには、日ごろの生活習慣を見直し、バランスのよい食事を心がけること。まずは、季節を問わず、食事時以外にもこまめな水分補給と、ミネラル不足に要注意。そのためにも、カリウム、マグネシウム、カルシウムといった筋肉の収縮や神経の伝達機能に関係する栄養素を意識して摂るようにしましょう。下記に、それぞれの栄養素の働きと、多く含む食品を挙げておきます。
○カリウム
細胞の浸透圧を維持し、神経の伝達や筋肉の収縮・弛緩などの働きをしています。野菜やいも類、海藻、果物などに多く含まれています。水溶性のため、煮たり、茹でたりすると水に溶け出してしまいます。したがって、おすすめは生で食べられるサラダですが、シャッキリさせようとして水に浸けすぎるのはNG。最も手軽なのは、旬のみかんですが、少し手をかけられるなら温かい野菜スープがおすすめ。身も心もほっくりします。
○マグネシウム
筋肉の収縮や神経伝達などの働きをしています。海藻や魚介類、穀類、野菜、大豆製品、ナッツ類などに多く含まれています。
○カルシウム
カルシウムは骨の栄養というイメージが強いですが、筋肉の収縮や神経の興奮を抑制するといった働きをしています。牛乳、乳製品、魚介類、大豆製品などに多く含まれていることは周知のとおり。どの栄養素も意識しないと不足しがちになるものですが、特にカルシウムは摂れているようで不足傾向にあります。
ほかに心がけるべきことは、日ごろの適度な運動と体を冷やさないようにすること。運動の前後にはストレッチも忘れずに。しっかり睡眠をとり、できるだけ疲労を溜めないようにすることも大切です。
足がつるのは病気のサインの可能性もあるので、気になる場合は、医療機関の受診をおすすめします。
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師