新しい生活が始まり、生活環境が変わると、ストレスを感じることも多くなります。ストレスは体にさまざまな影響をもたらします。実は食との関係も大きく、健康に悪影響を及ぼすことも。今回はストレスと食の関係についてお伝えします。
ストレスとは
ストレスとは外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のことをいいます。その原因となる外的刺激を「ストレッサー」、それによって引き起こされる一連の生体防御反応を「ストレス反応」と呼びます。ストレッサーとストレス反応を合わせてストレスと呼ばれることが一般的です。
ストレスの原因
人間はストレスを感じると、ストレスから身を守ろうとします。ストレス状態が続くと、抵抗力が弱まり、体を安定的に守ることができなくなります。
ストレスの原因はいくつかあります。暑さ・寒さや有害物質などの物理的・科学的なもの、病気や睡眠不足・飢えなどの生理的なもの、職場や家庭における不安・緊張・恐怖・怒りなどの心理的・社会的なものなどさまざまです。
ストレスによる反応
ストレスにより引き起こされる反応は、心理面・行動面・身体面の3つに分けられます。
心理面:怒り、不安、緊張、恐怖、無気力、活力・集中力の低下 など
行動面:生活習慣の乱れ、過食、多量飲酒、喫煙、仕事でのミス、消極的になる など
身体面:頭痛、腹痛、腰痛、肩こり、動悸、息切れ、胃痛、血圧上昇、疲労感、肥満、血糖上昇、食欲低下、便秘、下痢、不眠 などなど
ストレスと食の関係
ストレスが食に与える影響はいくつかありますが、1つめは「食欲」です。ストレスから暴飲暴食に走ってしまった経験はありませんか?
ストレスを感じると、副腎皮質から「コルチゾール」というストレスホルモンが急激に分泌されます。コルチゾールは生命維持に欠かせないホルモンですが、ストレスを感じると、食欲を抑える神経伝達物質である「セロトニン」の分泌を抑えてしまいます。その結果、食欲が増してしまうというわけです。セロトニンは精神安定に関わるホルモンでもあるため、分泌を抑えてしまうと、気持ちも不安定になってしまいます。
2つめは「食生活の乱れ」です。イライラしたり、気持ちが落ち込んだりといったネガティブな感情が起こると、高脂肪や高糖質などのジャンクフードを食べてしまう「エモーショナル・イーティング」に走りがち。これは、お腹が空いているわけでもないのに、ついつい心の赴くまま衝動的に食べてしまう行動のことをいいます。このストレス食い行動が続くと、どんどん食生活が乱れていきます。それが長期にわたることで、肥満、内臓脂肪蓄積、高血圧、脂質異常症などを招き、やがて動脈硬化から、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な病気になりやすくなってしまいます。
食事で気をつけること
食事で気をつけることは、一般的によくいわれるように、「規則正しく」「食事、運動、睡眠のバランスをとる」こと。下記にポイントをあげておきます。
- バランスのとれた食事
炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂りましょう。各栄養素をバランスよく摂ることで、それぞれの栄養素がもつ役割を十分に果たすことができ、代謝アップにもなり、心と体の健康につながります。
- ビタミンC
ストレスに対抗してくれるコルチゾールの材料のひとつが「ビタミンC」です。ストレスが多くなると消費が激しくなるので、ストレスフルな生活を送っている人ほど、ビタミンCを多く含む食品――例えば、いちごやキウイ、柑橘類、ピーマン、じゃがいもなど――を意識して摂る必要があります。
- ビタミンB群
ビタミンB群はストレスがかかると消費量が増加します。不足すると、イライラする、集中力が続かない、疲れる、精神的に不安定になりやすくなることも。ビタミンB群は、豚肉や玄米、大豆製品などに多く含まれています。
- カルシウムやマグネシウム
ストレスを感じると、どうしてもイライラすることが多くなりますが、神経の興奮を抑える働きのあるカルシウムやマグネシウムを摂ることで、穏やかな気持ちになりやすくなります。カルシウムは牛乳、乳製品、小松菜、魚類などに、マグネシウムは大豆製品、ナッツ類、海藻などに多く含まれています。
- たんぱく質
たんぱく質はストレスに対抗してくれるホルモンの材料となります。ストレスが多いと、必要量は増加します。たんぱく質が不足すると免疫力の低下にもつながるので、肉や魚、大豆製品、卵などは、毎食、食卓に並べるようにしましょう。カルシウムが多く含まれている牛乳、乳製品などにもたんぱく質が含まれているので上手に取り入れてください。
- トリプトファン
精神の安定に関わる「セロトニン」の材料です。睡眠にも関係しており、幸せホルモンともいわれています。セロトニンが抑制されると、精神が不安定になり、睡眠不足などの悪影響が出ます。トリプトファンは、体内では合成できないため、食事で摂る必要があります。肉類、大豆製品、乳製品、バナナなどに多く含まれています。
ストレスを感じたら、気持ちを切り替える、趣味に没頭する、好きなことをする時間を設ける、人に話すなど……ストレスを解消する方法はいろいろあります。食事面でも、上記内容を意識的に取り入れるだけでサポートできることもあります。ぜひ、参考にしてみてください。
【参考文献】
・e-ヘルスネット「ストレス」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-031.html
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師