「1日1個のりんごで医者いらず」、これイギリスのことわざとご存じでしたか?世界では約15,000種類、日本では約2,000種類、国内収穫量1位の青森県内では約50種類が栽培され、その内約40種類が市場に出荷されています。日本では明治以降からりんごの栽培が始まりましたが、日本以外の国ではもっと古くからりんごとの関わり合いがありました。りんごに関することわざは世界10ヵ国以上に存在します。りんごは健康に良い食材と昔から世界で言い伝えられてきましたが、それが科学的にも近年の研究報告から分かってきました。
りんごの収穫は青森県と長野県で約8割を占める
りんごの収穫は8月上旬〜11月中旬に行われます。
2021年のりんごの収穫量は66万1,900t、都道府県別の収穫量では1位青森県シェア63%、2位長野県シェア17%、となっており、この2県で全国収穫量の約8割を占めています。
また、同年の品種別の収穫量をみると、1位「ふじ」シェア51%、2位「つがる」シェア11%、3位「王林」シェア7%、4位「ジョナゴールド」シェア7%でした。
蜜入りりんごは完熟の証
蜜が入りやすい品種について、蜜入りりんごは完熟した美味しい状態を示しています。光合成によってりんごの葉から果実へ運ばれたソルビトールは、果糖やショ糖やブドウ糖などへ変換し果実の細胞へ蓄えられます。完熟期になると、細胞内は糖で満たされソルビトールは細胞と細胞の隙間へ水分としてあふれでるように貯まっていきます。これが蜜の正体です。蜜が特に甘いから美味しいという事ではなく、葉からしっかり栄養が運ばれて果実に糖が十分に満たされているから美味しい、という事なのです。蜜入りりんごは収穫後、蜜が徐々に果肉へ吸収されていきます。りんご全体の甘さに変わりないのですが、シャキシャキ感やジューシーさといった美味しさが欠けていきます。早めに食べる事をおすすめします。
※蜜が入りやすい品種と入らない品種
▽蜜が入りやすい品種
「サンふじ」「北斗」「ぐんま名月」など
▽蜜が入らない品種
「王林」「ジョナゴールド」「つがる」など
美味しいりんごの選び方
・お尻まで色濃いもの
・お尻部分が深く窪んでいる
・軸の元が深く窪んでいる
お尻まで色濃いもの
全体的に赤色や黄色が濃いりんごは、甘みは強く味も濃い傾向です。りんごのお尻(下部)まで濃い色のものが良いでしょう。基本的に、お尻が緑色のものはまだ完熟手前で酸味が強めの傾向です。
さらに、果皮に張りがありツヤツヤしているりんごは新鮮な証です。
お尻部分が深く窪んでいる
おしりの部分(果実の下の部分)が深く窪んでいて、全体的に丸みがあり変形していないものが良品の傾向です。
また手に取った時に、重量感がある物を選びましょう。
軸の元が深く窪んでいる
軸が太く、軸の元(果実の上の部分)が深く窪んでいて、変形していないものが良品の傾向です。軸がしっかりしていると、栄養をよく吸収して育っているといわれてます。
りんごは冷やすと、より甘くて美味しい
りんごは果物の中でも特に果糖が多いのが特徴です。果糖は、別名フルクトースといいます。フルクトースの結晶型は、低温で甘みが増すという性質があります。なので、りんごを冷やして食べると、甘みをより強く感じるのです。
りんごの上手な保存方法
・涼しい場所で保管する
・冷蔵保存ではポリ袋に入れ、口を閉じる
・長期保存の際は新聞紙などに包んでポリ袋へ
・食べる時まで涼しい場所から出さない
涼しい場所で保管する
りんごは暑さが苦手です。秋冬は暖房の入った室内に置いておくよりも冷蔵庫の野菜室などに入れておきましょう。
冷蔵保存ではポリ袋に入れ、口を閉じる
冷蔵庫に入れる際は、ポリ袋などに入れてしっかりと口を閉じましょう。口を閉じる理由は、りんごの水分が蒸発するのを防ぎ、りんごから出るエチレンガスの影響で他の野菜や果物が成熟して傷むのを防ぐためです。
長期保存の際は新聞紙などに包んでポリ袋へ
箱買いなどしてりんごが大量にあり、通常より長く保存する場合には、りんごを1個ずつ新聞紙やキッチンペーパーなどに包んでから、ポリ袋に入れましょう。
食べる時まで涼しい場所から出さない
りんごは温度変化に弱い果物です。「冷蔵庫から取り出し、一日暖かい室内に置いたままにして、再び冷蔵庫に戻す」のような事をすると、品質が劣化してしまいます。涼しい場所へ保管したら、食べる時までそっと置いておきましょう。
りんごポリフェノール「プロシアニジン」に期待する効果
腸内環境が良くなる
トラブル対策
抗アレルギー
スリムな体型へお助け
血糖値上昇を抑制
りんごのポリフェノール成分の半分以上を占めるプロシアニジン、この効果が近年の研究報告で色々と明らかになってきました。プロシアニジンは、緑茶の「カテキン」や赤ワインなどに含まれる「レスベラトロール」よりも高い抗酸化力があります。
りんごなどの果物は糖が多いから血糖値が上昇するのでは?と、一般的に思われがちですが、りんごに関してはむしろ逆。血糖値が気になり始めたという方には、りんごを習慣的に食べることをおすすめします。
▼プロシアニジンの上手な摂り方
日々りんごを食べる習慣にする
りんごは生のまま食べる
1日数回に分けてりんごを食べる
カットしたりんごが茶色くなる前に食べる
プロシアニジンは果肉の部分にも豊富に含まれているので皮をむいても摂取することはできるのですが、皮の近い方へ豊富に含むポリフェノールもあります。その中のひとつ「フロレチン」は昔から糖吸収を抑制することが報告されています。なので、皮ごと食べる方が栄養価は高いといえるでしょう。
参考
「令和3年産りんごの結果樹面積、収穫量及び出荷量」(農林水産省)