DASH食とは、1990年代にアメリカで提唱された、高血圧予防・改善を目的とした食事方法で、その特徴は大きく2つあります。
- ミネラルや食物繊維、たんぱく質を増やす
- 飽和脂肪酸やコレステロールを減らす
ミネラルはカリウム、カルシウム、マグネシウムが必要とされ、たんぱく質は血管を丈夫に保つために必要とされています。これらの[増やす栄養素]と[減らす栄養素]を組み合わせることで、身体から余分な塩分を排出することを促します。
DASH食2つのポイント
①脂肪の多い肉類や砂糖を含む甘いものを減らす
具体的には肉類から魚類に切り替えて不飽和脂肪酸を増やし、低脂肪の肉と低脂肪乳製品をとることにより飽和脂肪酸・コレステロールなどの脂肪摂取を減らすことです。肉類は脂肪の少ない鶏肉などを選び、調理方法も皮や脂を取り除き、ゆでたり、焼いたりする。低脂肪の牛乳やヨーグルトなどでカルシウムが不足しないように意識して補うとよいでしょう。甘いお菓子やジュース類なども減らしましょう。
②野菜や海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物を十分にとる
塩(ナトリウム)を排出する働きのあるカリウムをはじめ、カルシウム、マグネシウムのミネラルを多く含む果物、食物繊維を多くとることで血圧を下げる効果が期待できます。これらのミネラルには、それぞれ異なった血圧を下げる働きがあります。
野菜を毎食取り、ミネラルが効率よくとれる大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、ブロッコリー、ナッツ類、いわし、しらすなどを積極的に摂取しましょう。ポイントは、様々な食品を”組み合わせる”ことです。血圧を下げる働きがあるといわれている食品を色々組み合わせる事で、より効率的に血圧を下げられると考えられています。
アメリカ人と日本人では体質や食文化の違いはありますが、血圧を下げるための食事には共通した面が多くあり、DASH食は日本人にも有効性が高いと考えられています。
日本人には「DASH食+減塩」
アメリカ人や諸外国の人に比べ食塩摂取量が多い日本人には上記の「DASH食」+「減塩」が効果的だといわれています。
高血圧症の食事で大切なことは、減塩を中心に、適正なエネルギー量を摂取して肥満にならないように注意し、野菜をたっぷり食べ、アルコールは控え、運動を積極的にするといった相互作用から成り立っていて、どれも継続していくことが大切です。その中でも最も重要な事は、やはり減塩ではないかと考えられます。減塩の食生活が長く続けば、それはもう減塩ではなく日常の味になります。
では、減塩を長続きさせるコツは何なのでしょうか?明確な目的をもち、常に減塩を意識続ける強い気持ちがないと難しいかもしれません。しかし、減塩ばかりに気をとられ、食事を楽しく美味しく味わうという本来の目的を失っては減塩生活を続けられないのではないでしょうか。まずは、自分なりに無理なく続けられることから始めてみましょう。
例えば、好きな料理1品だけは今まで通りに食べて、他の料理でしっかり減塩するという方法もあります。何か1つの食材でも、何か1品でも薄味にする食生活を送っていくと、自然と舌が薄味に慣れてきて、徐々に他の料理も薄味になっていき、全体的な減塩生活に広がっていくようになると思います。舌が薄味に慣れてくると繊細な味も敏感に感じられるようになり、少しの味付けて十分、と感じられるようになるでしょう。
現在血圧が高くない人でも減塩食生活に慣れておけば将来の健康に繋がる
「今は血圧は高くないし、減塩なんて意識しなくても私は大丈夫!」とは考えないでください。自分や共に食事をする大切な人たちの将来の血圧が正常でいるためにも、減塩の習慣を今からすぐにでも実施していくことが大切です。日々の小さな積み重ねが、明日の、未来の健康へ繋がっていきます。日々の食事や生活習慣を改めて、ナトリウム摂取を上手に付き合って、血圧をコントロールしていきましょう。