そろそろ花粉症シーズン到来です。もうすでに、くしゃみや目の痒みなどの症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか? 毎日の生活のなかで、さまざまな花粉症対策をされていることと思いますが、食事もポイントの一つです。花粉症自体を食事で治すことは難しいですが、少しでも症状の緩和につなげていただければと思い、今回は花粉症と食べ物についてお伝えします。
花粉症とは
花粉症とは体に入ったスギやヒノキなどの花粉に対する免疫反応です。免疫は体内に侵入した細菌やウイルスを異物と判断し、排除して体を守ってくれるシステムです。免疫が花粉に対して過剰に反応し、体に症状を引き起こしてしまう状態をアレルギーといい、花粉症の場合はくしゃみや鼻水、目の痒みなどの症状が出ます。
免疫機能と腸内環境
花粉症は免疫反応に大きく関係しています。免疫機能の重要拠点は、実は「腸」です。腸は体のすべての免疫の60%以上を担っているといわれています。つまり、腸内環境を整えることは、免疫機能を正常に保ち、花粉症の症状を緩和してくれることにつながります。腸内環境を整えるには、生活習慣や食習慣、食事内容が重要な役割を果たします。
腸内環境を整える食事とは
腸内には100兆個もの腸内細菌が存在し、免疫細胞の働きを支えています。腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3つのグループに大別されます。この3つの細菌がバランスを取りながら腸内環境を良好な状態に保っています。
腸内環境をよくするには、運動、休養、栄養のバランスも大切です。特に、腸内細菌は皆さんの食べたものを栄養としているため、偏った食事や不規則な食生活は腸内環境の乱れにつながります。ぜひ、バランスのよい食事を心がけてください。
そのポイントとしては・・・
- 食品で善玉菌を増やしましょう
発酵食品など善玉菌を含む食品をとって、腸内環境をバランスよく整えます。ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチ、味噌、醤油、漬物などを、できるだけ毎日とることを心がけ、善玉菌優勢の腸内環境にしましょう。
- 善玉菌のエサとなるものをとりましょう
善玉菌のエサになる食品をとることも大切です。エサとなるのは「オリゴ糖」と「食物繊維」です。オリゴ糖は、大豆、玉ねぎ、ごぼうなどに多く含まれます。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。
水溶性食物繊維は果物や海藻、大麦、根菜類などに多く含まれ、血糖値やコレステロールの上昇を抑制する働きがあります。不溶性食物繊維は野菜類や豆類に多く含まれ、排便を促すなどの大切な機能があります。バランスよく2種類の食物繊維をとりましょう。
食物繊維の摂取目標量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では18〜64歳の場合、1日あたり男性21g以上、女性18g以上とされていますが、すべての年代、特に若年層での不足が顕著です。意識してとるようにしましょう。
- ビタミンDと日光にあたりましょう
ビタミンDには免疫機能を調整する働きがあるといわれています。カルシウムや骨の代謝に大切な栄養素でもあるため、健康維持に大切な栄養素の一つといえます。
ビタミンDを多く含む食材として、きのこ類、魚類(鮭やししゃも、しらす干しなど)があげられます。きのこ類は腸内環境を整える食物繊維を多く含んでいるので一石二鳥ですね。
ビタミンDは食べ物からとることも大切ですが、日光にあたると体の中で合成が高まります。花粉が飛散しはじめ、まだ寒い時期でもあるため、外に出るのが億劫になりがちですが、ウォーキングなど、少しでも外に出て太陽を浴びましょう。
- 青魚を意識して食べましょう
花粉症はヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー誘発物質が原因となり症状が起きます。青魚の脂に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、この働きを抑えてくれる作用があります。サバやイワシ、サンマなど青魚をとるようにしましょう。
※青魚のアレルギーのある方はお控えください。
花粉症にいいといわれている食材はいろいろあります。バランスのよい食事にプラスして、ここでお伝えした栄養素をとり入れていただけたらと思います。腸内環境が整うと、花粉症に効くだけではなく、免疫力アップにもつながります。ぜひ、参考にしてください。
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師