ずいぶんと暖かくなり、屋外での運動が気持ちのいい時季になりました。そこで、朝起きたら、まず運動をしてみませんか。その日1日、気分すっきり過ごすことができるのではないでしょうか。
その場合、運動は食前? それとも食後? どちらにするのがよいのでしょう? 今回は、運動と食事のタイミングについてご紹介します。
食前に運動をする場合
食前は、体内の糖質が少なくなっている状態です。そのタイミングで運動すると、エネルギー源としての糖質を使えないため、体に蓄えてある脂肪で体を動かすことになります。つまり脂肪が燃焼されるため、減量したい方にとってはこのタイミングがおすすめです。
ただし、食前に運動をする場合、気をつけるべき点があります。エネルギー源として脂肪以外に筋肉が分解され、使われやすくなること。筋肉が分解されるということは、筋肉も落ちてしまうことになります。
したがって、糖尿病の方や血糖コントロールが不安定な方は、空腹時に運動をすると低血糖を起こす可能性があるので注意が必要です。 食前に運動をする場合は、長時間の運動やハードな運動は控えたほうがいいでしょう。
食後に運動をする場合
運動後の食事では、運動でエネルギーを使い、筋肉が疲労しているので、エネルギー源となる糖質と筋肉の材料となるたんぱく質をとることで、しっかりリカバリーすることができます。糖質やたんぱく質の代謝には、ビタミン、ミネラルも必要なので、一緒にとるとよいでしょう。
糖質や脂質は、体を動かすエネルギーとして使われないと、脂肪として体に蓄えられてしまいます。食後に運動をすることで栄養素は消費され、蓄えることが抑えられます。また、体の中で糖質の利用が高まり、食後の高血糖を抑えることができるといった利点もあります。 食後すぐに運動をすると、腹痛や下痢などで気分が悪くなることがあります。それは食べたものを消化するため、通常は胃腸へ血液が集まるのですが、運動をすると筋肉に血液が集まり、胃腸へ血液が十分に集まらないため、食べたものを消化できずに消化不良を起こし、腹痛を起こしやすくなるのです。食後は、1〜2時間ほど経ってから運動をするとよいでしょう。
朝の運動は意識して!
朝食後の運動の場合は少し特別です。前日の夕食から朝食までの時間が、ほかの食事の間の間隔よりも長く、空腹時間が長いからです。寝ている間にもエネルギーを使い、朝食前は体のエネルギー源はとても少ない状態です。その状態で運動をすると、筋肉は分解されやすく、落ちやすくなります。
さらに、朝起きたばかりだと体温も上がっていない状況なので、上手に運動できない可能性があります。できれば食事をとって体を温め、1〜2時間ほど経ってから運動をすることをおすすめします。
でも、朝は仕事や学校へ行くため、運動のための時間は限られますよね。そういう場合は、食事の前に水分補給をした後、30分程度の軽い運動にしておくといいでしょう。
タイミングは自分の目的次第で
食前の運動・食後の運動には、それぞれに長所・短所があり、どちらがいいとは言い切れませんが、とりあえず脂肪を減らしたい方は「食前」、体重をキープしたい・血糖値を抑えたい方は「食後」がいいでしょう。 ご自身の運動目的や環境に応じて、タイミングを選び、効率よく運動をしてください。そして運動の前後には、必ず水分補給をしっかりと!
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師