体づくりにはたんぱく質が大切なことは知っているけれど、なぜ大切なのか? また、よく聞く「良質なたんぱく質」とは、どんなたんぱく質のことなのか? 今回は「たんぱく質」について少し考えてみたいと思います。
たんぱく質とは
たんぱく質は多数のアミノ酸が結合してできています。体内に入るとアミノ酸に分解されて、吸収後は体に必要なたんぱく質に再合成されます。合成と分解を常に繰り返しています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、必須アミノ酸が9種類、非必須アミノ酸が11種類あります。必須アミノ酸は、体内で合成することができないため、食事から摂らなければなりません。非必須アミノ酸は、食材から吸収されるたんぱく質や脂質、糖質などの栄養素で合成することができます。アミノ酸はひとつでも欠けてしまうと、たんぱく質を合成することができなくなります。
たんぱく質の役割
たんぱく質は三大栄養素であり、炭水化物、脂質と並んで、私たちが生きていく上で必要不可欠な栄養素です。その理由は、「体をつくる材料」になるからです。筋肉をはじめとして、血液や皮膚、爪、髪の毛などは、たんぱく質からできています。
また、体の機能を維持するホルモンや酵素、血液の細胞などもたんぱく質が材料です。体を動かすエネルギー源にもなり、1g当たり4kcalのエネルギーを生み出しています。ちなみに、糖質は1g当たり4kcal、脂質は1g当たり9kcal、アルコールは1g当たり7kcalです。脂質、アルコールは生み出すエネルギー量が高いことがわかりますね。
たんぱく質が不足すると、体をつくる材料が不足してしまうため、筋肉低下や肌トラブルなど、体に不調が出ます。
良質のたんぱく質とは
「良質なたんぱく質」とは、必須アミノ酸をバランスよく含んでいることをいいます。良質なたんぱく質かどうかは、「アミノ酸スコア」で確認できます。アミノ酸スコアとは、食品中に必須アミノ酸がどれだけ含まれているかを評価するための数値です。最大値は100で、100に近いほど必須アミノ酸がバランスよく含まれ、良質なたんぱく質ということになります。
食品により含まれるアミノ酸の組み合わせや量が違うため、アミノ酸スコアはそれぞれ違います。食品の中で最も不足しているアミノ酸を「第一制限アミノ酸」といい、アミノ酸スコアはこの数値によって決まります。第一制限アミノ酸が低いものは、アミノ酸スコアが低いということになります。
【食品のアミノ酸スコア】
食品 | アミノ酸スコア | 第一制限アミノ酸 |
精白米 | 91 | リジン |
食パン | 51 | リジン |
大豆 | 100 | – |
鶏卵 | 100 | – |
牛乳 | 100 | – |
牛肉・豚肉・鶏肉 | 100 | – |
あじ・イワシ・まぐろ | 100 | – |
キャベツ | 93 | ロイシン |
トマト | 83 | ロイシン |
アミノ酸スコアを意識しましょう
アミノ酸スコアは、植物性たんぱく質に比べて動物性たんぱく質のほうが高いものが多いのですが、植物性たんぱく質である大豆のアミノ酸スコアは100と、良質なたんぱく質であることがわかります。
アミノ酸スコアが100に近い食品を食べることは大切ですが、スコアが100に満たないからといって食べないのではなく、さまざまな食品を組み合わせ、不足したアミノ酸を補い、100に近づけることも一つの方法です。
例えば、精白米はリジンが第一制限アミノ酸ですが、それを補うためにリジンを豊富に含んでいる大豆と一緒に食べることや、食パンと牛乳を一緒に食べるなどでアミノ酸スコアを100に近づけることができます。
アミノ酸スコアを参考に、ご自身で工夫しながら良質なたんぱく質を摂るように心がけるといいでしょう。
たんぱく質の摂り方としては、毎食まんべんなく摂るようにすること。その理由は、たんぱく質は体内にためておくことができないからです。夕食でたくさんたんぱく質を食べたからといって、翌日の朝食は抜きでもいいというわけではありません。朝食でもしっかりたんぱく質を摂らないと、体内で分解が始まり、筋肉の低下につながります。毎食、良質のたんぱく質を摂ることが、健康な体づくりにつながります。
次回は、たんぱく質の目安量についてお伝えします。
【参考文献】
新しい食生活を考える会編著「食品解説つき 八訂準拠 ビジュアル食品成分表」大修館書店、2021年
e-ヘルスネット「良質なたんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師