気温が下がり、空気が乾燥する時期になると、風邪のウイルスが活性化します。発熱、咳、鼻水、喉の痛みなど、風邪の諸症状はけっこう辛いもの。風邪を引かずに済むものなら、それに越したことはありません。今回は、風邪予防のための食事のポイントをお伝えします。
免疫力を高めることが大切
免疫とは、体内に侵入してきた有害なものを排除し、私たちの体を守ってくれる防御システムのこと。この力が低下すると、ウイルスや病原菌などの異物が体内に入り、病気を招いてしまうため、風邪予防のためにも免疫力を高めることが大切です。
免疫力を高めるためのポイントとして、
・適度な運動
・1日3食バランスのよい食事
・十分な睡眠
・規則正しい生活習慣
・ストレスを減らすこと
・腸内環境を整えること
などが挙げられます。
免疫力には個人差があり、加齢に伴って低下しやすくもなるので、日ごろから上記のポイントを意識することが大切です。
バランスのよい食事の指標として、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」があります。1日に「何を」「どれだけ」食べたらいいかの目安をイラストでわかりやすく示してあります。主食や主菜などをバランスよく組み合わせるための考え方・選び方が参考になります。
風邪予防のポイントとなる栄養素
厚労省の食事バランスガイドを参考に、バランスのよい食事を心がけることにプラスして、風邪予防のためのポイントとなる栄養素がいくつかあります。
- たんぱく質
体に入ったウイルスと戦うためには、免疫細胞を増やすことが必要です。
たんぱく質は、筋肉や体をつくる栄養素ですが、免疫細胞の材料でもあります。たんぱく質をしっかり摂ることが免疫細胞を増やし、免疫力を高めることにつながります。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品をしっかり摂りましょう。
- 発酵食品・食物繊維
腸内環境を整えることは免疫力を高めることにつながります。
発酵食品に含まれる乳酸菌には、腸内環境を整える働きがあります。ヨーグルト、味噌、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品には乳酸菌が多く含まれています。
食物繊維は善玉菌の餌となります。善玉菌が増えると腸内環境がよくなります。食物繊維は、海藻、きのこ、大麦、雑穀などに多く含まれています。
- ビタミンA
風邪ウイルスや細菌は鼻や口などの粘膜から侵入してくることが多いのですが、粘膜が乾燥していると異物が侵入しやすくなります。この粘膜の潤いを守るためには、ビタミンAが有効です。ビタミンAは、にんじんやかぼちゃ、ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれています。
- ビタミンC
ビタミンCは免疫力アップに必須の栄養素。体内で合成できないので、食事で摂る必要があります。ビタミンCは、ブロッコリーやパプリカ、キャベツなどの野菜、いちご、キウイなどの果物、じゃがいもやさつまいもなどのいも類に多く含まれています。
- ビタミンE
抗酸化作用があり、免疫力低下を防ぎます。アーモンド、かぼちゃ、卵などに多く含まれています。
こうした栄養素を摂るためには、寒い時期なら、体が温まる「かぼちゃのスープ」や「緑黄色野菜や鶏肉を入れたクリームシチュー」などがおススメです。
主食、主菜、副菜をそろえたバランスのよい食事を心がけるとともに、風邪予防の基本として、うがい、手洗い、マスク着用の励行を。これは新型コロナウイルス対策で、すっかりおなじみになりました。
風邪を引いてしまったら
しかし、ウイルスには勝てないこともあります。
風邪を引いて、熱が出ると、エネルギーを消費し、体力を消耗します。まずは体を冷やさず、エネルギー補給をしましょう。食欲がわかないこともありましょうが、ご飯や麺、パン類といった糖質を多く含む食品、なかでも消化のよいお粥やパン粥、煮込みうどんなどでエネルギーを補給します。
また、熱が出たり下痢をしたりすると、多くの水分やミネラルが失われます。こまめに水分を補給することも大切です。そして、ゆっくり安静にすごしましょう。
【参考文献・資料】
・厚生労働省「食事バランスガイド」について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
・e-ヘルスネット「活性酸素と酸化ストレス」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師