前回に引き続き、今回は瞬発力+持久力系競技について詳しくお伝えします。
瞬発力+持久力系競技とは…
瞬発力+持久力系競技の代表は、サッカー、テニス、ラグビー、野球、バスケットボールなどの球技系の競技です。ボールを打つ、蹴る、飛ばすなどの瞬発的な動きにプラスして、ゲーム中に比較的長い時間走るための持久力が必要となります。そのため、食事でも両方をカバーする栄養素を補給しなければなりません。
重要視したい栄養素は「糖質」「たんぱく質」
持久力系競技と筋力系競技の食事のポイントとして重要視したい栄養素は、「糖質」と「たんぱく質」です。長時間走るための筋グリコーゲンを蓄えておくには、糖質が必要です。また、瞬発的な力を発揮するためには筋力が必要ですが、筋力アップには「たんぱく質」が必要です。筋力を維持することや体づくりにもたんぱく質は大切な役割をしています。
糖質と一緒に摂っていただきたい栄養素は「ビタミンB1」です。ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えてくれる栄養素であり、疲労回復ビタミンといわれています。
たんぱく質は、「ビタミンB6」「ビタミンD」を一緒に摂ると吸収をよくしてくれます。ビタミンは、体に必要な量はごくわずかですが、糖質や脂質、たんぱく質の代謝をスムーズに行えるようにサポートし、血管や皮膚などを健康に保つ働きがあります。縁の下の力持ちのような存在ですが、ビタミンが足りないと糖質やたんぱく質はその役割を果たすことができず、脂肪になってしまうので要注意です!
ケガ予防も重要!
瞬発力+持久力系競技のなかでも、体と体がぶつかり合う球技系スポーツには、ケガに繋がりやすいコンタクトスポーツがあります。
ケガをしてしまってから食事に気をつける方がいますが、ケガをしてしまったらせっかくのチャンスもモノにできなくなってしまいます。遅きに失することのないよう、日ごろから食事に気を配り、ケガを予防することが大切です。そのための強い体づくりには強い骨をつくることも必須です。
骨をつくるためには日ごろから骨の材料となる「カルシウム」を摂るようにします。カルシウムは牛乳や乳製品に多く含まれていることはご存じと思いますが、ほかにも骨まで食べられる小魚や桜エビ、大豆製品、小松菜、ひじきなどにも多く含まれています。
ただ、注意していただきたいのは、「リン」という栄養素です。リンはカルシウムの吸収を阻害してしまいます。骨を強くするためにカルシウムを摂っても、リンを多く摂ってしまっては、せっかくの努力が水の泡です。リンを多く含むのは、スナック菓子やインスタント食品です。ときどきならいいでしょうが、頻繁に食べている人は注意が必要です。
1日3食、バランスのよい食事を心がけるのはもちろんのこと、間食には不足しがちな栄養素(カルシウムや鉄など)や、練習や試合時に必要な栄養素(エネルギー源やたんぱく質など)を含むものを選ぶといいでしょう。
カルシウムは筋肉の収縮にも必要な栄養素です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1人1日当たりの推奨量は男性700mgから800mg、女性650mgと設定しています。牛乳コップ1杯(200g)には220mg、納豆1パック(50g)には46mgのカルシウムが含まれています。カルシウムの吸収をサポートしてくれるビタミンDも一緒に摂ることを忘れずに!(詳しくはFood Library「食事や運動で健康な骨をつくる!」もご参照ください)
瞬発力+持久力系競技には球技スポーツが多く、瞬発力と持久力両方の力が必要です。コンタクトスポーツも多いので、ケガ予防のために強い体をつくることが大切です。食事のチカラが大きいので、日ごろから心がけましょう。
【参考文献】
・e-ヘルスネット「カルシウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師