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ビタミンの種類と働き②
2024.03.19 おすすめ記事

ビタミンの種類と働き②

前回は、ビタミンの種類と働き、そして脂溶性ビタミンであるビタミンAについてお伝しました。今回は、ビタミンA以外の脂溶性ビタミンについてお伝えします。

【ビタミンD】

骨の健康を維持するために、意識してカルシウムを摂っているという方も多いと思います。ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を助けてくれるので、骨の健康維持に重要な働きをしています。そのほかに、免疫機能を調整する働きや筋肉の収縮、神経伝達を正しく行う働きなど、多岐にわたって活躍するビタミンです。

油に溶けやすい脂溶性ビタミンなので、多く摂り過ぎると体に蓄積してしまい、高カルシウム血症を起こします。カルシウムがさまざまな臓器に沈着し、腎機能障害や食欲不振などの症状が現れます。逆に不足すると、低カルシウム血症が起こり、骨の軟化を招きます。小児の場合は骨の成長障害が起こりやすくなり、くる病になったりします。高齢者の場合は骨粗鬆症になりやすくなり、骨折により寝たきりになるリスクも高まります。

ビタミンDは食品から摂取する以外に、日光に当たると紫外線によって皮膚でも合成されます。在宅ワークや寒い時期は外出機会が減って皮下合成が低下してしまいます。「最近外に出ていないな…」と思い当たる方は、外に出て日光を浴びるようにしてください。

 ビタミンDを多く含む食品には、きのこ類や魚介類、卵類、乳製品などがあります。特にきのこ類は、いろいろな料理に手軽に使える便利な食材です。

油との相性がよい脂溶性ビタミンなので、炒め物や揚げ物などの調理をすると吸収率を上げることができます。例えば、きくらげと卵の中華炒めや、鮭のフライなどはいかがでしょう。

◎ビタミンDを多く含む食品

きのこ、魚介類、卵類、乳製品 など

【ビタミンE】

 ビタミンEは、細胞膜や脂質に多く存在します。抗酸化作用が強く、体内の脂肪の酸化を防ぎ、細胞膜の健康を維持しています。細胞の酸化を防ぐことで老化防止にも効果があります。(Food Library「活性酸素から体を守るために」もご覧ください)

 ビタミンD同様、脂溶性ビタミンなので過剰摂取には注意が必要ですが、通常の食事量では過剰になることはあまりなく、心配はいりません。ただ、サプリメントなどで耐容上限量を超えるくらい過剰に摂取すると、血液が止まりにくくなるといわれています。特に抗凝固薬(ワーファリンなど)を服用している人は要注意です。不足すると、神経や筋肉に障害がみられることがあります。血行障害による冷え性、腰痛、頭痛などがあり、抗酸化力の低下によりシミやシワができやすくなったり、動脈硬化のリスクを高めます。

ビタミンEを多く含む食品として、ナッツ類がよく知られています。そのまま食べてもいいのですが、活用次第でいろいろ手軽に楽しめます。例えば、かぼちゃとナッツのサラダは簡単に作れて美味しい一品です。私はナッツ類をサラダのトッピングなどに使うことが多いのですが、食感も楽しめるのでお勧めです。

ほかにはイクラ、モロヘイヤ、かぼちゃ、オリーブオイル、うなぎ、全粒穀物など。ビタミンAやCと一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。

◎ビタミンEを多く含む食品

アーモンドなどのナッツ類、イクラ、モロヘイヤ、かぼちゃ、オリーブオイル、うなぎ、全粒穀物 など

【ビタミンK】

ビタミンKは、血液を凝固させる働きや動脈の石灰化を抑える働きがあります。また、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促します。そのため、骨粗鬆症の治療薬として処方されています。骨の健康の維持と、骨粗鬆症予防のためにもビタミンKを意識して摂取し、できればカルシウムとビタミンDを一緒に摂ることをお勧めします。

ビタミンKも脂溶性ビタミンですが、多く摂取しても毒性がないことが報告されています。過剰摂取は心配ないのですが、ビタミンE同様、血栓を防ぐワーファリンのような薬を服用している方は要注意です。ビタミンKが薬の効き目を弱めることがあるため、病気治療中の方は主治医の指示に従ってください。逆に不足に関しては、腸内細菌によっても合成されるため不足することは少ないのですが、抗生物質の長期投与で腸内細菌が死滅すると、合成量が減って不足しやすくなります。すると、内出血や鼻血などの症状が起きる場合があります。特に新生児は不足しやすいので注意が必要です。

 ビタミンKを多く含む食品として、海藻や納豆、緑黄色野菜があげられます。ブロッコリーとわかめの納豆和えやほうれん草と納豆のオムレツなど、組み合わせを工夫して料理をしてみるのも楽しいですよ。

◎ビタミンKを多く含む食品

わかめ、のり、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、春菊、納豆 など

ビタミンはいろいろな栄養素をサポートする大切な役割を担っています。ただし、体にいいからといって、過剰に摂取することは悪影響を及ぼす危険性が高くなります。よく、体にいいからといって極端に栄養素を摂る方がいますが、何事も適度に摂ることが大切です。ぜひ一度、ご自身の食事が偏っていないか確認してみるといいでしょう。

次回は水溶性ビタミンについてお伝えします。

【参考文献】

・e-ヘルスネット「ビタミン」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師