運動前後の栄養補給、意識していますか。継続的に運動をするためにはとても大切なことなのです!
運動中に空腹だと…
お腹が空いたまま運動をすると、思うように動けなかったり、途中でスタミナ切れを起こしたりします。エネルギー不足による集中力の低下や低血糖、めまい、吐き気などさまざまな影響があります。体がエネルギー不足だと筋肉を分解してエネルギーを作り出すことになるため、ますます筋肉の減少につながってしまいます。せっかく運動で筋肉をつけてパフォーマンス向上や健康維持につなげたいのにこれでは逆効果になってしまいます。
運動後に空腹でいると…
運動でエネルギーを使った後は、体はエネルギー不足状態です。筋肉も疲労しています。運動後にエネルギーを補給しないでいると疲労が蓄積し、筋肉が上手につくられず、筋肉の減少につながってしまいます。
運動量や競技に応じて、上手に補食を!
私たちは食べ物から必要な栄養素を取り込むことで体をつくり、動かしています。体に蓄えられている栄養素もありますが、それには限りがあるため、1日3食食事を摂ることで栄養補給をしています。ところが、運動量や競技によってエネルギー消費が激しい場合や運動のタイミングによっては、1日3食では栄養素が足りず、スタミナ切れを起こしてしまうことがあります。アスリートのような運動量の多い方、活動量の激しい方、一度に食べられる量が少ない成長期の子どもには、補食が必要です。
補食とは
補食とは、朝食・昼食・夕食の3食以外に摂る食事のこと。目的は栄養補給なので、スナック菓子や甘いおやつ、飲み物などを摂ればいいというものではありません。おやつは心の栄養なので、必ずしもダメというわけではありませんが、頻度や量によっては糖質や脂質を多く摂りすぎて余分な脂肪がついてしまいかねません。上手に選ぶことが肝心です。
補食の主な役割と補食として摂りたい栄養素
補食の役割として、
- 3食では補いきれない栄養素を補う
- 運動中にエネルギー不足にならないようにする
- 運動後、いち早く栄養補給し、疲労回復や運動で使ったエネルギー補給をする
- 運動中の集中力を高める
などが挙げられます。
補食にはエネルギー源となるものがおすすめです。ポイントとなる栄養素として「糖質、脂質、たんぱく質」について簡単に説明しておきます。
【糖質】
糖質は体を動かすエネルギー源です。不足してしまうとスタミナ切れや集中力の低下につながります。たんぱく質や脂質に比べて、消化・吸収が速いのが特徴です。運動前の補食で、糖質を肝臓や筋肉などに貯え、運動中にスタミナ切れを起こさないようにします。
【脂質】
脂質は糖質、たんぱく質に比べて、エネルギー量が高いので、少ない量でも効率よくエネルギーを得ることができます。ただし、摂りすぎると、エネルギーとして利用されない分は体に脂肪として蓄積されてしまいます。また、脂質は消化に時間がかかるので注意が必要です。
【たんぱく質】
たんぱく質は体をつくるもととなる栄養素であり、エネルギー源となります。特に運動後の補給が大切で、運動で使ったエネルギー補給と筋肉の修復に使われます。
運動前後の栄養補給のポイント
運動前と運動後の栄養補給の考え方と、食べやすい食品例を挙げておきましょう。
【運動前】
運動中に必要なエネルギーを補給する必要があるので、糖質を多く含む食品を摂ります。スタミナ維持や筋肉の分解を防ぐ、集中力の持続などの役割があります。おにぎり、あんぱん、カステラ、うどんなどの麺類などがおすすめです。
【運動後】
運動で使ったエネルギーと筋肉の合成の材料を補給する必要があるので、糖質とたんぱく質を含む食品を摂ります。運動後できるだけ早く栄養補給することで、体の回復や筋肉の修復をしてくれます。おにぎり、肉まん、牛乳、ヨーグルト、バナナなどが手軽ですが、1品で糖質とたんぱく質を摂ることが難しい食品の場合は、肉まん+バナナなどのように組み合わせてください。
控えたほうがよい補食は? 気をつける点は?
運動前はすぐにエネルギーになるものを、運動後は速やかに体の栄養になるものを。したがって、消化に時間がかかってしまうものは控えたほうがいいでしょう。例えば、フライドポテトや唐揚げ、カレーパン、カップラーメンなど油を多く使っているものは消化に時間がかかってしまうので、避けるのが無難です。唐揚げよりはサラダチキン、カレーパンよりは肉まんなどにすると、油分が控えられます。
また、運動時間が短い場合や軽運動の場合は、補食を食べ過ぎると脂肪がついてしまう原因となります。食べ過ぎには要注意です。運動時間が長い場合は、運動中も栄養補給をする必要がありますが、運動前に食事をしていたり、運動後すぐに食事をするつもりなら、補食は必要ないでしょう。このように、補食は、運動と食事のタイミングをはかることも大事です。
「腹が減っては軍(いくさ)はできぬ」――。運動も然り。補食を上手に利用して、体づくりやパフォーマンス向上、健康維持に繋げてください。
最後に一つ。運動前・中・後、いずれにおいても、こまめに水分補給することは忘れずに!
補食や食事のタイミングについてはFood Library「運動をするときの食事のポイント②」もご覧ください
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師