食卓に香りと季節感を届ける、食用菊
「蝶もきて 酢を吸ふ菊の 膾(なます)哉」
芭蕉の句でも知られるように、江戸時代前期に菊は一般に料理に用いられていました。色は黄色と紫色が主で黄色の代表は青森県産の阿房宮。花びらを蒸してから薄くのして干した菊のりにも加工されています。紫色の代表は延命菊があり、山形、新潟などで栽培され、“もってのほか”とも呼ばれています。食用菊は1年中出回っていますが、旬はやはり秋で、香りのよさが違います。民間療法では目の痛みや視力回復に有効とされ、お湯に浸した花を瞼にのせて疲れ目の回復にも使われていたと言われています。
菊と鶏のささ身のお浸し
材料(4人分)
食用菊(黄) 1パック
食用菊(紫) 1パック
鶏ささ身肉 2本
だし汁 360ml
酒 大さじ2
薄口しょうゆ 大さじ2
塩 小さじ1/4
作り方
1.食用菊は花弁だけをほぐし、それぞれ酢(少々)を入れた湯でサッとゆで、ザルに上げて手早く冷まし、水気を絞る。
2.ささ身はスジを取り除き、ゆでてから細かめにほぐす。
3.鍋にだし汁、酒、薄口しょうゆ、塩を入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら火を止め、冷ましておく。
4.ボウルに1、2、3を入れてサッと混ぜ、冷蔵庫で1時間ほど冷やし、器に盛りつける。