食欲の秋で、ついつい美味しいものを食べすぎてしまい、体重計にのったら大変なことに!?旬のものは美味しく、気候も良いので食欲が増しますよね。しかし、肥満は万病のもと。要注意です!今日はこの肥満について詳しくお伝えします。
肥満とは
「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」を肥満と定義づけられています。国際的な体格指数BMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]が用いられ、下記の表をもとに判定します。また、BMI≧35(肥満3度)を高度肥満と定義します。
【肥満度分類】(日本肥満学会)
BMI(kg/㎡) | 判定 | WHO基準 |
18.5未満 | 低体重 | Underweight |
18.5以上25.0未満 | 普通体重 | Normal range |
25.0以上30.0未満 | 肥満(1度) | Pre-obese |
30.0以上35.0未満 | 肥満(2度) | Obese class Ⅰ |
35.0以上40.0未満 | 肥満(3度)/高度肥満 | Obese class Ⅱ |
40.0以上 | 肥満(4度)/高度肥満 | Obese class Ⅲ |
肥満症とは
「肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患」を肥満症と定義づけられています。診断としては、肥満と判定されたもの(BMI≧25)のうち、「肥満症の診断に必要な健康障害」を合併する場合、肥満症と診断します。現在、健康障害を伴っていなくとも内臓脂肪型肥満と診断された場合は、肥満症と診断されます。(腹囲:男性85㎝以上、女性90㎝以上。腹囲部CT検査などによって内臓脂肪面積≧100cm2が測定されれば、内臓脂肪型肥満と診断する。)
【肥満に起因ないし関連する健康障害】
肥満症の診断に必要な健康障害
肥満と肥満症は違いますが、肥満は病気を意味するものではありませんが、肥満を伴い、健康障害を合併するリスクが高い場合や合併する場合は肥満症と診断され、医学的な減量治療を行う必要があります。
肥満の要因はさまざま
日頃より、体重の増減について気になるところではないでしょうか?毎日体重計にのり、一喜一憂していることともいます。毎日体重の推移はとてもシンプルで、
- 摂取カロリー>消費カロリー 体重は増加
- 摂取カロリー=消費カロリー 〃維持
- 摂取カロリー<消費カロリー 〃減少 です。
頭ではわかっているのですが、外食があったり、食欲の秋で食欲が増したり、仕事が忙しく運動ができなかったりと、なかなかコントロールは難しいですよね。肥満はこの①の摂取カロリー>消費カロリーにより体重増加し起こります。その要因はさまざまで、単純に食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足という場合もありますが、ほかにもいろいろ考えられます。みなさん、「昔と食べている量は変わらないのに、お腹が出てきた・・・」とか「体重が増加気味」なんてことありませんか?これは年齢とともに筋肉量が減少し、代謝が落ちてきているためです。残念ながら意識していないと、年々、筋肉は減少していきます。身体の中で筋肉が一番代謝する臓器であるため、筋肉が減少すると代謝が落ち、消費カロリーが落ちるために今まで通りの食事量では摂取カロリーが多く、身体に脂肪がつきやすくなり、体重増加につながってしまいます。他にも、日々の生活環境にも問題点があります。車やネット社会になり、活動量が減ってしまっていることや仕事や人間関係のストレスにより暴飲暴食を繰り返してしまうこと。変則的な勤務状況や育児や介護など不規則な生活により睡眠時間を確保できないことや食べる量が増えてしまうなど、実は振り返ると肥満は、現在の生活環境に大きく関係しており、簡単に改善できる問題ではないことがわかります。日頃の生活を振り返り、食事、運動を心がけることや、ストレスを溜め込まないことなど意識できると肥満の予防や改善につながっていきます。
肥満と肥満症は違い、肥満症は治療を要するものです。要因は根深く、予防や改善するにはなかなかと手強いことがわかります。次回は、肥満の中でも筋肉量に関係するサルコペニア肥満についてお伝えします。
【参考文献等】
・e-ヘルスネット「肥満と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html
・肥満症診療ガイドライン2022
http://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_05.pdf
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師