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肥満を予防・改善するには…
2024.12.03 レシピ

肥満を予防・改善するには…

食欲の秋に続き、年末年始で会食の機会が増える時期は、体重が気になる時期でもあります。前々回から肥満についてお伝えしてきましたが、今回は肥満を予防・改善するためにはどうしたらいいかをお伝えします。 

肥満の要因… 

 Food Library「肥満と肥満症は何が違う?」でも触れたように、体重増加はシンプルに「摂取カロリー>消費カロリー」の場合に起こります。肥満の要因はさまざまですが、加齢にともなって基礎代謝が落ちて脂肪がつきやすくなることや日々の生活環境が大きく関係しています。ご自身の生活を振り返りながら、少しでも肥満予防・改善に努め、大きな病気を招かないようにしましょう。 

振り返りポイント「食事」 

 肥満を予防・改善する第一のポイントは、やはり食事です。まずは、「摂取カロリー>消費カロリー」の状態を「摂取カロリー<消費カロリー」にする必要があります。そのポイントとして、 

  1. バランスのよい食事を心がける 

食事をお菓子だけで簡単に済ませてしまったり、同じものばかり食べていたりすると、栄養が偏ってしまい太りやすくなります。1日3食、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を基本にすると、「炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル」の五大栄養素を摂れるので、それぞれの栄養素がもつ役割を十分に果たすことができ、代謝をよくしてくれます。特にさまざまな食品を摂ることは、栄養素の複合効果により、身体機能を高め、筋肉量を増やすことにもつながります。 

  1. 規則正しい食習慣 

生活習慣を整えることで、欠食や暴飲暴食を防ぐことができます。夜型の生活だと、朝起きることがなかなかできずに朝食を抜くことが多くなります。朝食を食べないでいると、夕食の量が増えてしまうことにつながりがちです。すると、夕食後は活動量が減るため、脂肪がつきやすくなるのです。 

また、夜遅くに食べすぎると、脂肪を合成する働きがある「BMAL-1」というたんぱく質の生成が増加します。BMAL-1は、翌日の活動に備えてエネルギーを溜め込み、どんどん脂肪を合成するため、夜遅くに食べると太りやすくなるというわけです。 

  1. ゆっくりよく噛んで食べる 

ゆっくりよく噛むことは満腹中枢を刺激するため、過食防止につながります。また、脳のヒスタミン神経系が活性化されることで、内臓脂肪が燃焼されやすくなります。唾液もたくさん出るので胃腸の負担の軽減にもつながるなど、いいことずくめです。 

  1. アルコールはほどほどに 

アルコールは、1g当たり約7kcalと高カロリーです。また、アルコールには食欲増進効果があるので、おつまみが付き物ですが、糖分や脂質が多いおつまみを選ぶと内臓脂肪が溜まりやすくなります。飲む量はほどほどに、おつまみは豆腐や枝豆など低カロリーで栄養のあるものを選びましょう。 

振り返りポイント「運動」 

 肥満の予防・改善には、食事だけではなく運動もセットにして取り組むと効果的。食事で摂取カロリーを減らし、運動で消費カロリーを増やすことで体重が減少します。また、運動をすることで筋肉がつき、代謝がアップして脂肪が燃焼しやすく、太りにくい体をつくることができます。有酸素運動で糖質や脂肪を燃焼させ、筋トレで基礎代謝を上げるようにします。 

忙しくて運動が難しい場合でも、毎日の生活の中で活動量を増やし、休日には少しでも運動の機会をつくるように努めてみてください。例えば、スーパーに車で行ったら駐車場に停めるのもできるだけ遠くにして歩く距離をのばす、ショッピングモール内を何周かしてみる、会社では違う階のトイレに行く、駅ではエスカレーターを使わず階段を上るなどなど、活動量を増やすチャンスは探せば案外あるものです。心がけ一つです。 

振り返りポイント「睡眠」 

 睡眠不足が慢性化すると、肥満や高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管障害を発症するリスクが高まることが近年の研究で明らかになってきています。また、睡眠不足は心の健康を害する恐れもあり、人間にとって睡眠はとても大切です。睡眠時間の目安として、成人はおおよそ6〜8時間が適性と考えられ、少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されています。睡眠は1日の疲労やストレスの回復にもつながるため、しっかり睡眠時間を確保しましょう。 

振り返りポイント「ストレス」 

 急性ストレスは、交感神経が働き、食欲を抑えます。一方、慢性ストレスは、ストレスホルモンである「コルチゾール」による脂肪を溜め込みやすく、肥満になりやすくなります。ストレス解消のため、糖分や脂質の多いものを食べたり、大量飲酒に走ってしまったりする方も多いと思いますが、それは肥満につながってしまいます。しっかり睡眠をとる、適度な運動をする、趣味に没頭する、アロマを焚く、誰かに話す……、無理なく取り入れられそうな方法で、上手にストレスを解消しましょう。 

肥満の予防・改善のポイントはいろいろです。ご自身に合った方法で取り組んでみてください。 

【参考文献等】 

・e-ヘルスネット「肥満と健康」 

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html

・健康づくりのための睡眠ガイド2023 

https://www.dietitian.or.jp/trends/upload/data/342_Guide.pdf

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師