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お酒と上手に付き合うには
2024.12.17 おすすめ記事

お酒と上手に付き合うには

お酒には、円滑なコミュニケーションをもたらし、気分転換になるといったメリットも期待できますが、飲みすぎによるデメリットもあります。今回はお酒との上手な付き合い方についてお伝えします。 

アルコールの代謝と影響 

 アルコールは小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡って肝臓で分解されますが、さまざまな臓器に影響を与えるため、飲みすぎると病気になる可能性が高くなります。アルコールの分解には分解酵素が関与しているのですが、分解酵素の働きが弱い体質の方は、顔が赤くなったり、動悸や吐き気がしたり。また、女性は男性に比べて体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量が少ないことから、アルコールの影響を受けやすく、肝硬変のリスクが高まります。若年者の場合は脳の機能にも関係するといわれています。過度の飲酒では急性アルコール中毒、長期の多量飲酒ではアルコール依存症を招き、生活習慣病、肝疾患、がんなどの疾病を発症しやすくなるなど、その影響は多大です。 

適正量には個人差がある 

 性別、体質、年齢などによって、アルコールの分解能力が違うため、アルコールの適量は人それぞれで個人差があります。厚生労働省は「健康日本21(第三次)」で「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を1日当たりの純アルコール量(酒に含まれるアルコール量)で、男性は40g以上、女性は20g以上を摂取した場合と定義しています。そして、同省が推奨する「節度ある適正な飲酒量」の基準は、「1日平均の純アルコール量で20g程度(アルコール分解速度が男性より遅い女性は半分の10g程度)」とされています。 

では、純アルコール量20gとはどのくらい? その目安と算出式を挙げておきます。 

【純アルコール20gに相当するお酒の量(目安)】 

・ビール(5%) 500ml(ロング缶1本分) 

・焼酎(25%) 100ml(グラス約1/2杯) 

・日本酒(15%) 180ml(1合) 

・ワイン(12%) 200ml(グラス約2杯) 

・ウイスキー(43%) 60ml(ダブル1杯) 

・チューハイ(7%) 350ml(1缶) 

純アルコール量(g)=摂取量(ml)✖️アルコール濃度(度数/100)✖️0.8(アルコールの比重)

飲酒による疾患の発症リスクにも要注目で、例えば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中の場合は、少しの酒量でも、飲酒自体が発症リスクを上げてしまうことがわかっています。健康管理のためには、飲んでいる量を認識し、コントロールすることが大切です。 

厚生労働省では依存症の理解を深めるための普及啓発事業として、飲んだお酒の種類と量を入力するだけで、純アルコール量とアルコール分解時間を簡単に把握することのできるWebツール「アルコールウォッチ」をリリースしています。このようなツールも活用しながら、健康に配慮した飲酒を心がけてください。 

お酒と上手に付き合うには… 

 健康的で楽しいお酒を飲むためには、やはり、正しくお酒を飲むことが大切です。下記のポイントを参考に、上手に付き合ってください。 

  1. 食事と一緒にゆっくりと! 

空腹状態でたくさんお酒を飲むと、胃腸が刺激されて粘膜が荒れ、アルコールが体内に吸収されやすくなります。すると、急激に血中アルコール濃度が高まり、さまざまな障害が起こりやすくなります。食事を摂りながらゆっくり飲むことで、空腹状態での飲酒を避け、お酒の量も減らすことができます。 

  1. 肝臓を休めてあげましょう! 

毎日お酒を飲み続けていると、胃や肝臓に負担をかけてしまいます。できれば週2日程度はお酒を飲まない日をつくり、肝臓を休めてあげましょう。また、夜遅くまで大量にお酒を飲んでいると、睡眠をとって体を休めているつもりでも、肝臓はアルコールを処理するために働きづめで休むことができません。眠りも浅くなってしまいます。 

  1. お酒のあいだに水やノンアル飲料を飲むか、または薄めて飲みましょう! 

アルコール濃度が高いお酒は、胃腸や肝臓への負担を高めます。アルコール濃度が高い=エネルギーも高いため、中性脂肪を増やしてしまいます。お酒を飲むときは水やノンアル飲料もあいだに飲むことで、胃腸への負担を和らげ、刺激を抑えることができます。お酒を飲む量も減らすことができます。 

  1. 飲む量を決めておきましょう! 

飲み過ぎないようにするには、あらかじめ飲む量を決めて、仲間に宣言するのも一つの手です。 

  1. 時間を決めて飲みましょう 

長時間飲み続けるのは、酒量が増えることにつながります。楽しくなるとついダラダラと飲みがちですが、時間を決めて切り上げると、飲み過ぎを防ぐことができます。 

お酒を飲むことで起こるさまざまな障害。その障害をさらに助長するのが、おつまみです。食事を摂りながら飲む「食中酒」は、胃腸の負担軽減や飲酒量を抑えることになるので推奨されますが、油や塩分の多いおつまみはエネルギーが高く、体重増加に繋がり、肥満が原因の病気を招いてしまうことになります。煮物や焼き物、サラダ、枝豆など、おつまみ選びにも気をつけていただけたらと思います。 

付き合い酒もあるなかで、心を鬼にするのは大変かもしれませんが、ご自身の健康を意識して飲むことを頭の片隅に! 

【参考文献等】 

・健康に配慮した飲酒に関するガイドライン 

https://www.mhlw.go.jp/content/001211944.pdf

・健康日本21(第三次)の概要 

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001158810.pdf

・あなたの飲酒を見守る「アルコールウォッチ」 

https://izonsho.mhlw.go.jp/alcoholwacth/

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師