食の検定 食検

食検 フードライブラリー
運動と関係が深い「BCAA」(分岐鎖アミノ酸)」
2025.01.28 おすすめ記事

運動と関係が深い「BCAA」(分岐鎖アミノ酸)」

運動時のBCAA(分岐鎖アミノ酸)摂取によるパフォーマンス向上、運動後の疲労軽減効果などが注目されています。今回はBCAAについてお話しします。 

BCAAとは 

 私たちの体は10万種類ものたんぱく質で構成されています。エネルギー産生栄養素の一つであるたんぱく質は、20種類のアミノ酸が結合した有機化合物ですが、一つでも欠けるとたんぱく質を合成することができません。 

アミノ酸には、体内で作ることができない9種類の必須アミノ酸と、体内で糖質や脂質から作り出すことができる11種類の非必須アミノ酸があります。(下記参照) 

必須アミノ酸 (9種類) バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニンとも表記される)、トリプトファン、ヒスチジン 
非必須アミノ酸 (11種類) チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン 

 BCAAは、必須アミノ酸の中のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種のアミノ酸の総称で、筋肉のたんぱく質に多く、運動時の筋肉のエネルギー源として利用されます。この3種のアミノ酸は、枝分かれのような構造をしているため「分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)」と呼ばれ、BCAAはその頭文字をとったものです。 

BCAAと運動の関係 

 運動時に重要な役割を果たしているBCAAですが、具体的にはどのような働きがあるのでしょう。 

・運動時の筋肉のエネルギー源 

・筋肉を構成する材料 

・筋たんぱく質の合成促進、分解抑制 

・運動時に傷ついた筋肉の修復 

・筋疲労の軽減 

・乳酸の蓄積抑制 

運動をするためには、エネルギーが必要です。エネルギー源として体内の糖やBCAAが使われます。BCAAが不足すると、筋肉を分解してエネルギー源として使われてしまうため、筋肉は傷ついたり、疲労が溜まりやすくなったり、パフォーマンス低下につながります。したがって、BCAAを摂取することで、筋肉の損傷や疲労を抑えることができ、パフォーマンスの維持や向上につながるというわけです。 

BCAAを多く含む食品 

 BCAAは、体内で作ることができない必須アミノ酸なので、食ベ物から摂取する必要があります。では、どんな食品に多く含まれているのでしょう。  

BCAAは、主に肉や魚といったたんぱく質、例えば、マグロ、カツオ、アジ、サンマ、鶏胸肉、鶏もも肉、牛肉、卵、凍り豆腐、納豆、木綿豆腐、牛乳、チーズなどに多く含まれています。 

BCAAを摂るタイミング 

 運動時のパフォーマンス向上、筋肉の損傷を防ぎ、疲労の軽減を考えると、運動前または運動中の摂取がおすすめです。 

BCAA摂取による運動への影響について研究した結果、1日2,000mg含有のBCAAを8日間摂取し、その後、漸増運動負荷テスト開始30分前に10,000mg追加摂取させたところ、プラスに影響したという報告があります。運動時、BCAAを最適なタイミングで摂取すること、さらに毎日継続して摂ることが大切だというのです。 

BCAAは、通常の食事でたんぱく質をしっかり摂ることができていれば、日常生活で不足することはないといわれています。つまり1日3食バランスのよい食事を心がけることがポイントです。最近ではコンビニやスーパーでもBCAAを多く含む食品を簡単に摂ることのできる商品があります。例えば、ゆで卵やサラダチキン、牛乳、豆乳、チーズなど。それでも難しい場合は、サプリメントなどを活用するのもひとつの手です。 

【参考文献等】 

・厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」 

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html

・足立哲司ほか.「分岐鎖アミノ酸(BCAA)含有飲料摂取が漸増運動負荷中の生体に及ぼす影響について」.『日本生理人類学会誌』.2011;16(4):165-170 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/16/4/16_KJ00007696036/_pdf/-char/ja?_ga=2.105582659.1533678186.1736048533-174429839.1736048533 

ライター:山下 真澄

管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師