新年度が始まり、生活環境が大きく変わった方もいらっしゃることでしょう。生活環境が変わると食生活も乱れがちになるものですが、毎日、きちんと朝食を食べていますか? 朝食は1日のエネルギー源。とても大切な役割があります。
若い世代で朝食を食べない割合が高い
農林水産省の「食育に関する意識調査報告書」によると、「現在の食生活について」聞いたところ、「朝食を食べる頻度」は下記のとおり。
全世代(該当者数:2,365人)では、
ほとんど毎日食べる:78.3%
週に4~5日食べる:6.1%
週に2~3日食べる:4.9%
ほとんど食べない:8.7%
無回答:2.1%
若い世代(20~39歳、該当者数:429人)では、
ほとんど毎日食べる:57.1%
週に4~5日食べる:13.1%
週に2~3日食べる:9.1%
ほとんど食べない:20.5%
無回答:0.2%
若い世代ほど、朝食を食べない割合が高いという結果でした。つまり、働き盛り世代は朝食を食べていない人が多いということになります。しかし、朝食を食べないことは集中力の低下につながり、仕事への影響や生活習慣病のリスクが高まるなど、ネガティブな要素がいくつもあります。一方、朝食を食べることには下記のようなメリットがあり、健康維持には欠かせません。
朝食を食べることのメリット
- 体を動かすエネルギー源
朝食は、午前中に活動するためのエネルギー源となります。人間は寝ている間にもエネルギーを使っているため、朝起きた時点でエネルギーが枯渇しています。朝食は寝ている間に使ったエネルギーの補給と午前中に活動するためのエネルギー補給という2つの役割を担っています。
- 体内時計を整えてくれる
人間には体内時計が備わっています。1日のリズムをつくり、睡眠や体温調節、ホルモン分泌、免疫機能の調節などは、その体内時計のリズムに合わせて行われています。体内時計の周期は、個人差はありますが1日24時間より長いことは確かで、地球の自転周期とはズレがあります。そのまま放置しておくとリズムが崩れ、体に不調が起きてしまいます。このズレをリセットするために有効なのは、朝、太陽の光を浴びること、そして朝食を食べることです!
- 筋肉の維持、増加
筋肉の材料となるたんぱく質は、体に溜めておける量がごくわずかです。そのため、たんぱく質は毎食摂るのが望ましく、夕食でたくさん摂ったから大丈夫というものではありません。夕食に偏って多く摂っても、朝食でたんぱく質を食べないでいると、筋肉が痩せてしまう原因となります。筋肉の維持、増加のためにも、たんぱく質は朝・昼・夕食と、毎食摂るようにしましょう。
- 生活習慣病や肥満の予防
朝食を欠食すると、その分、昼食・夕食を食べすぎてしまったり、空腹時間が長くなることで体が飢餓状態からエネルギーを蓄えなければと感じてしまったりします。その結果、脂肪の吸収が高まり、肥満の原因になってしまいます。さらに、血糖値が急激に上がるため、血糖値を下げるためのインスリンが過剰に分泌されて、体に脂肪を溜め込みやすくなり、肥満につながります。肥満は、糖尿病や高血圧、腎臓病、心筋梗塞、脳梗塞、高尿酸血症、脂肪肝、月経異常などさまざまな病気を招いてしまうので、朝食を食べることは、生活習慣病予防の観点からも重要です。
朝食を食べることで、集中力を高め、お通じをよくし、体温を上昇させるといった効果が得られます。昔から、「朝食を食べることは大切だ」といわれてきましたが、このようにたくさんのメリットがあることをご存じでしたか? 朝は忙しく、朝食を作ったり食べたりする時間がないかもしれません。でも、夕食を作る際に、朝食分の下ごしらえをしておくこともできます。今はコンビニで買うこともできます。おにぎりやサンドイッチ、ヨーグルトなど簡単なものから朝食を食べる習慣をつけ、エネルギーと栄養素を補充して朝から活動できる体をつくりましょう。
【参考文献】
・農林水産省 食育に関する意識調査報告書(令和7年3月)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/ishiki/r07/pdf_index.html
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/ishiki/r07/pdf/houkoku_3_2.pdf
ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師