高血圧は重篤な病気の引き金になると認識している方が多いと思いますが、血圧が低い場合も、さまざまな症状で悩んでいる人が少なくないことをご存じでしょうか。今回は、低血圧についてお伝えします。
低血圧とは
低血圧とは、WHOの基準では、収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下と定義されています。低血圧は原則として、治療の必要はないとされていますが、放置していると日常生活に支障が出てくる場合があります。
低血圧の症状としては、めまいや立ちくらみ、朝なかなか起きられない、頭痛、倦怠感、動悸、息切れ、食欲不振などがあげられます。
低血圧の分類
低血圧には、慢性的に血圧が低い本態性(一次性)低血圧と、心疾患など原因がわかっている症候性(二次性)低血圧があります。また、立ちくらみが典型的な症状として知られる起立性低血圧、食後に限って起こる食後低血圧などというものもあります。下記に、その主な原因と症状をあげておきます。

日常生活で気をつけること
- 規則正しい生活を心がける
健康な体づくりには、早寝早起きをして、しっかり睡眠をとり、3食規則正しく食べること。そして血圧を正常に上げるためにも朝食からしっかり食べることが大切であり、それは低血圧の予防にもつながります。低血圧の方は、朝、なかなか起きられないということが多いのですが、規則正しい生活を送り、生活リズムを整えることで改善が期待されます。
- 栄養バランスのとれた食事を心がける
血圧を正常に保つためには、栄養バランスのとれた食事も大切です。特に意識していただきたいのは、血液の材料となる、肉や魚、大豆製品、卵、乳製品などのたんぱく質と、牛肉やレバー、貝類、きくらげなどの鉄分。さまざまな栄養をサポートしてくれる野菜や海藻類などのビタミン、ミネラル。そして、摂りすぎると高血圧の原因になる塩分も、血管を収縮させ、血圧を上げる作用があるので適度には摂る必要があります。偏食や食事制限をすると、このような栄養素が不足してしまうので要注意です。
- 水分をしっかり摂りましょう
水分補給は、血圧を一定に保つのに必要です。こまめな水分補給を心がけましょう。
- 適度な運動
適度な運動は、血液の循環をよくし、心肺機能を鍛えることで血圧の安定につながります。ストレッチやウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動は、血液の循環をよくしてくれます。日ごろ運動と無縁な方は、運動量の少ないものから始め、自分のペースを守ることで無理なく続けることを目指しましょう。
- 無理なダイエットは禁物
無理なダイエットは、栄養不足を招き、体に支障をきたします。規則正しい生活も送れなくなるため、血圧のコントロールも悪くなってしまいます。
血圧が高いことばかり気にしがちですが、血圧が低い場合も体に支障が出ます。症状が辛い方は、医療機関の受診を検討してみてください。
【参考文献】
・公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/shinshikkan/teiketsuatsu.html
・一般社団法人 愛知県薬剤師会